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千葉ロッテマリーンズ「謎の魚」、仕掛け人に聞く!

千葉ロッテマリーンズ

コアファン以外にまで話題を拡げ、ファン人口を増やしていくことはあらゆるスポーツチームにとって共通の課題のひとつ。本記事では、千葉ロッテマリーンズの「謎の魚」が、どのようにネットでバズを生み、スポーツの裾野を広げる大きな役割を果たしてきたのかを探る。

千葉ロッテマリーンズ「謎の魚」

写真左から、千葉ロッテマリーンズの公式キャラクター「謎の魚」と千葉ロッテマリーンズ 広報・メディア室の梶原紀章氏。

    この記事のポイントは?

    (1)スポーツファン以外の人に「また来てもいい」と思わせるために、スポーツ以外の部分でも"きっかけ"をつくることが必要不可欠。

    (2)SNSでバズを起こすためには、突っ込みどころを盛り込むことが重要。

    (3)千葉ロッテマリーンズはチャレンジ精神や、ベンチャー気質を持っている球団。そのため「謎の魚」が実現し、迅速な情報発信や、機を逃さない広報戦略がとれた。

勝敗や選手は不安定な要素 安定的に話題を供給するには

2017年5月、ZOZOマリンスタジアムのスクリーンに奇妙な魚が登場した。名前は「謎の魚」。千葉ロッテマリーンズの公式キャラクターだ。千葉県の海に棲む魚という情報以外のほとんどが謎に包まれたこの異色のキャラクターは、登場から数日後に「形態」を変えてスクリーンを飛び出したことで、SNSを中心に大きな話題を集めた。

「選手は活躍して初めて話題になります。逆に言えば、選手の個性がどんなに際立っていても、最終的に活躍しなければ話題にはなりません。球団にとってキャラクターとは、選手のパフォーマンスが変動するなかで、球団は安定的に話題を供給するためのコミュニケーションツールと言えます」。

こう語るのは、「謎の魚」の仕掛け人で千葉ロッテマリーンズ 広報・メディア室の梶原紀章氏。

不安定な環境の中で、いかに話題を供給してビジネスを安定させるか、といった課題は、野球界にとどまらず、あらゆる企業にとって常について回る課題だ。特に、(マリーンズは)「昨年はリーグ最下位だったため、メディア露出の多くは『謎の魚』についての話題が占めた。もし『謎の魚』がいなかったとしたら、話題の供給は難しかったでしょう」と、梶原氏は球団にとってのキャラクターの重要性を話した。

また、安定的な話題の供給に加えて、もうひとつ野球界にとって喫緊の課題であるのが、野球に無関心な層を「野球ファン」に変えていくことだ。

一般企業に置き換えて考えてみても、全体的に先細っていく日本の市場において、認知獲得、リード・ナーチャリング、好意醸成などは難しい領域だが、この点についても、「謎の魚」などのキャラクターが効果を発揮すると梶原氏は話す。

「スポーツに無関心な層にまで話題を起こすことも、『謎の魚』の狙いの大きな部分。キャラクターやチアは、まさにこの役割を果たすことを期待されています。

例えば、野球を好きにならないと、いくらすごいバッターがいてもなかなか選手に対する関心にはつながりません。一方で、キャラクターやチアなどのファンサービスは、野球に興味のない人にでも興味を持ってもらう"きっかけ"になります。そこから野球を好きになってもらえる可能性が大いにあるのです」。

このように"きっかけ"を重要視する理由として、梶原氏は球場への来場者の属性を考慮している。

「野球ファン以外の人に野球の魅力を伝えていくためには、野球場に初めて来た人に『野球』と『野球以外のこと』の両方で楽しませることが重要。なぜなら野球ファンは、それほど野球が好きではない人と一緒に観戦に来る確率が高いからです。その時に、ファンではない人をグッとつかめるかが大事なポイント。そのためには、野球でなくてもいいので、花火でも、試合の合間のダンスだったり、キャラクターだったり、『もう一回来てもいいな』と思わせる"何か"を提供できるかが非常に大切になってきます」。

リピーターと一緒に試合を観戦に来た新規顧客に、「いかに興味を持たせ、リピーターに変えていくか」、そのためには本業とは離れたサービスもいとわない、という姿勢はあらゆる企業にとって必要なマインドセットなのではないだろうか …

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