ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。
不便さがビジネスを生む パリと縁の深いUber
世界的に拡大するシェアリングエコノミー=共有経済。この大きな潮流の中で、シェアリングサービスの草分け的存在のひとつとなっている「Uber」(配車サービス)は、ベータサービスを開始した2010年からたったの8年で世界84カ国、800都市以上(6月時点)で利用されるまでに成長し、テクノロジーが瞬く間に「配車サービスの経済秩序」を変えた事例と言えます。
同サービスはパリでも普及(利用数の多い都市トップ5)していますが、新興国での広がりにも目を見張るものがあります。先日、出張したガーナの首都アクラも例外ではなく、ショッピングモールでUberによる待機列を解消するため「Uber専用パーキング」が設けられていました。
Uberはサンフランシスコ発のスタートアップ企業ですが、そのビジネスプランは創業者がかつて訪問したパリでタクシーがなかなかつかまらなかった苦い体験から着想を得たそうです。こうした背景で、同社の海外進出はパリから始まり、直近では海外初の研究開発拠点も同地に開設することが発表されるなど、何かとパリと縁があります。
このように、Uberのようなアメリカ発のシェアリングサービスがフランスに根を張る中、フランス発のサービスも頭角を現しており、今回はその中でも人気の高いアプリをご紹介します。
欧州で大人気の相乗りアプリ 「嗜好」を事前設定
フランスでは、パリ市が2007年に開始した自転車のシェアリングサービスの先駆け「Velib'」を皮切りに様々なサービスが生まれています。
中でも評判が良いのが、中長距離のライドシェア(相乗り)サービス「BlaBlaCar」。フランスの公共交通機関は日本ほど発達しておらず、直通の交通手段がない遠方まで安価で移動できる点が人気の理由です …