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クリエイティブの「種」、のようなもの

2018年のカンヌ審査員、 小助川氏が感じた世界の潮流─いま、向き合うべきは『social bias』

小助川雅人氏(資生堂)

人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。

2018年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルに「film craft」の審査員として参加した。この体験は、自分にとって多くの発見があるものだった。「film craft」の応募は全部で2400本。"direction"、"cinematography"など12のカテゴリーに分けられ、それぞれの技術を評価する。評価にあたっては、事務局からクライテリア(審査基準)が提示されるのだが、その年の審査員長の方針によって傾向は変わる。

審査のあらゆる過程では「それは世界レベルで評価されるのか」、「その技術はブランドにとって、どのような貢献がなされているのか」という疑問が投げかけられた。ふだん15秒、30秒でのプロモーションに慣れている自分としては正直、「やっているスポーツが違う」という印象を持った。もちろんそれはどちらが良いという話ではない。ただ、世界の基準、作法を知っておくことは損にはならないし、むしろ知っておくべきだということは強く思った。

なぜなら資生堂はもちろん、いま多くの日本企業がグローバルに展開する手法を模索している中で、国内の成功事例を基準に議論を進めることはあまりにもリスクを孕んでいるからである …

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