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「花見の経済効果」に見る 気象にまつわる日本の祭事ビジネスの効果

宮本勝浩氏(関西大学名誉教授、大阪府立大学名誉教授)

日本では四季を生かした祭事が古くから親しまれてきました。そうした祭事は、一方で天候に左右されてしまいやすいという一面もあります。祭事による経済効果のほか、天候へのリスクマネジメントの考え方を聞きました。

6000万人以上の日本人が楽しむ 昔から愛されてきた「花見」の威力

日本人はお花見が大好きです。お花見は平安時代になって貴族の間で人気が高まったようです。鎌倉、室町時代には武士階級にまで桜のお花見の人気が高まり、豊臣秀吉は有名な文禄3年(1594年)に「吉野の花見」、慶長3年(1598年)には「醍醐の花見」を開催しました。そして、江戸時代には広く庶民の間で「お花見」が流行しました。

現在は、南北に長い日本列島では桜の開花からお花見を楽しむ期間は約2カ月にもわたるので、日本中の人々がお花見を楽しむことができます。そして、今や日本のお花見は、世界各国の観光客から注目される日本の観光の目玉のひとつとなってきています。

しかし、天候によってお花見は残念な結果になることがあります。雨が降ったり、強い風が吹いたりすると、お花見を楽しむことが難しくなります。このように、天候によって人出が大きく変わる行事やイベントが数多くあり、悪天候の場合、観光客や関係者は大変困ることになります。

ここで、お花見に行く日本人の消費額を見てみましょう。2018年のお花見の人出ベスト10は次のスポットです(図表1)。

図表1 2018年版:日本のお花見人出ランキング(ベスト10)
出典:ジョルダン乗換案内

しかし、これらの人出ベスト10には入らなかったものの、人々の人気を集めた桜の名所として、京都府の淀川河川公園背割堤の桜、京都府の岡崎公園なども有名です。このように桜の季節には大勢の人々がお花見に出かけます。

それでは、どれだけの人々が毎年お花見に出かけるのでしょうか。2018年の日本の総人口は1億2678万人です。そして、15~79歳までの人たちの中で約6割の6016万8000人が自分の意思でお花見に行くと推定しました。そしてお花見の費用を一人約4000円とすると、日本人のお花見の総支出額は2406億7200万円となります。

訪日外国人によるお花見の消費額も増加

図表2で分かるように、4月には3月や5月よりも外国人の観光客が増えていることがわかります。これは「日本の桜を見たい」と思って来日しているからだと考えられます。中国のオンライン旅行大手の「携程(シートリップ)」は、2018年3月9日に「3月下旬から4月下旬までの日本の桜のシーズンに、中国から約60万人が日本を訪れ、日本の桜の名所の外国人観光客の約3割を中国人で占めることになるだろう」と予想していました。

図表2 2017年の月別訪日外国人数
出典:日本政府観光局(2018年発表)

3月下旬から5月上旬までに来日する外国人観光客の数は451万人でした。これらのうちの約8割の人々が日本のお花見に行くと仮定すると、381万人の訪日外国人がお花見に行くとことになります。国土交通省観光庁の2018年1月16日の発表の資料によると、訪日外国人の1日の消費額は1万6914円となります。その結果、訪日外国人のお花見の総支出額は610億5954万円となります。

お花見がもたらす経済効果は6500億円を超える!?

日本人と訪日外国人のお花見の支出の合計は3017億3154万円となりますので、この金額を基にして経済効果を計算します。経済効果はいろいろな経済分野に波及して行きますが、理論的には産業連関表を用いて計算します。総務省内閣府が2016年に発表した最新の「全国産業連関表」を用いて計算しました。その結果、日本のお花見の経済効果は、6517億4013万円となりました …

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