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データを活用できる組織になる!

「データ」と「分析」以外のところでつまずく組織

西内 啓氏

経営そしてマーケティングにおけるデータ活用の重要性が叫ばれるようになって以来、専門人材の採用、育成に力を入れる企業が増えています。しかしスキルを持った人材がいれば企業のデータ活用は進むのでしょうか。データ活用ができない組織には共通点があると指摘する、統計家の西内啓氏が、陥りやすい落とし穴をもとに実践的なデータ活用論を解説します。

パターンに分類できるデータ活用ができない企業の症状

幸いなことに『統計学が最強の学問である』という本を書いて売れたおかげもあって、ここ数年、多くの企業からデータに関する相談をいただくようになりました。2010年前後に「ビッグデータ」という言葉が注目されるようになってから今に至るまで、どこの会社もデータの利活用には苦労しているようです。

メディアで堂々と自社のデータ活用ぶりをアピールするあの大企業であっても、水面下では「正直どこから手をつけてよいかわからない」「大金を投資したのに、よくわからない分析結果が出てきた」という声が聞こえてくるのですから、日本中で上手くデータを活用できている組織など、まだまだごく一部なのかもしれません。

少なくとも日本国内において、私ほどデータに関する様々な相談を受け、プロジェクトの行き詰まりや、ダメな分析レポートを見せてもらえた人間というのもいないのではないかと思いますが、企業がデータを活用できないという症状はそれほど多様なものではなく、いくつかのパターンに分けられます。

本記事を読んでいただいた皆さんもこの失敗パターンを抑えておけば、今後いつデータ活用の仕事に携わるようになっても上手く対応できるかもしれません。この失敗パターンの説明に入る前に、まずはデータを活用して利益に繋げられる、という理想的な状態を確認しておきましょう。この状態は図表1のように表現できます。

図表1 データを活かす組織の理想

分析だけをしていても企業に利益はもたらさない

まずは、データが分析しやすい状態できちんと蓄積されていて、分析の担当者が良い分析を行えること。多くの企業がこの「データ」と「分析」こそが、自社のボトルネックになっていると考えて積極的に投資をしてきましたが、実は分析だけをしても何の利益も生まれません。

確かに適切な分析結果からは「どの条件が変われば、もっと売上が増えるのか」といったことはわかります。例えばマーケティングの領域であれば、パネルデータを分析した結果、「競合する市場の中で、『信頼できる』というイメージを強く持たれた製品は売れる」といった分析結果が得られるかもしれません。

しかし問題はこの後です。誰かが意思決定をして、どこかの部門が動かなければ、「自社製品の信頼感を向上させる」といった変化は起こせず、故にせっかく分析しても売上が増えることはありません …

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