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クリエイティブの「種」、のようなもの

広告は企業の「態度」の表明になる

小助川雅人氏(資生堂)

人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。

カンヌ国際広告祭(当時はそういう名前だった)に初めて行ったのは2000年。まだオフィスに一人一台パソコンがあったかどうか。それでも、せっかくのカンヌ国際広告祭を現地からリポートしようと思い、クマのぬいぐるみが会場の様子をレポートする体で、写真を撮影し日本へ送ったら、重すぎてオフィスのすべての通信に支障をきたして大クレームになる、という通信環境でもあった。

その年のグランプリは「FOX REGIONAL SPORTS」。どんなマイナーなスポーツでも楽しむことができるスポーツチャンネルで、高い崖から地面へジャンプするトルコのスポーツ、切り倒した丸太を素手で受け止める中国奥地のスポーツ、屈強な男がビンタを張りあうロシアのスポーツと、世界の僻地にある架空のスポーツまで中継する、という内容だった。マイノリティをおもしろおかしく描くのが当時の欧米の笑いだった。

その翌年、2001年に9.11事件が発生する。

そういう意味ではあの「FOX REGIONAL SPORTS」の受賞は象徴的だったと言えるかもしれない。

それから時はあっという間に過ぎ2018年。縁あって今年はカンヌの審査員をすることになった。私ごときがそんな立場になってもいいのか、という葛藤はあったものの、引き受けた今は自分のできる限りのことはしたいと思っている …

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