放送業界の反発受け放送法4条撤廃は盛り込まれず
政府の規制改革推進会議は6月4日、第3次答申をまとめ、安倍晋三首相に提出した。放送をめぐる規制改革として、インターネット同時配信や通信放送の枠を超えたプラットフォーム・配信基盤の構築、新規参入の促進、ローカル局の経営基盤のあり方の検討など広範囲にわたる提言を行った。今年3月に報道された放送法4条の撤廃や、ハード・ソフトの分離に関する文言は、放送業界の強い反発などもあり盛り込まれなかった。
これを受けて政府は6月15日に工程を定める規制改革実施計画を閣議決定した。今後、「骨太の方針」に反映される予定。
課題克服のため具体的な4方策を提言
第3次答申は同会議が昨年秋から検討してきた農林水産、医療・介護、保育・雇用など120項目にわたる規制改革項目をまとめたもので、放送をめぐる規制改革など昨年11月に公表した第2次答申からの継続課題も盛り込んだ。
答申は、「放送事業の未来像」を描くうえで、技術革新と放送と通信の更なる融合が重要な要素だとし、ローカル局の経営などの「事業環境」と、放送事業者と制作会社の関係や労働環境など「制作現場」の両面で課題があると指摘。そのうえで、放送の未来像は「国民の知る権利の充足などを通じて、健全な民主主義社会の基盤として社会的な機能を放送事業者が十全に果たしていく姿」と記述。
課題解決の方策として、(1)通信と放送の枠を超えたビジネスモデルの構築、(2)グローバル展開、コンテンツの有効活用、(3)制作現場が最大限力を発揮できる環境整備、(4)電波の有効活用その他、の4つに整理して制度整備を進めるよう提言した …