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米国広告マーケティング事情

サッカーW杯ロシア大会にみる米企業のマーケティング戦略

松本泰輔

米国では4大プロスポーツ(アメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケー)の人気に劣るサッカーだが、世界最大のスポーツイベントといわれるワールドカップ(W杯)は、移民大国として一定の注目を集める。残念ながら今年のロシア大会は36年ぶりに米国代表が本大会出場を逃す不測の事態に見舞われたが、4年に一度のマーケティング機会を逃すまいと多くの米企業がキャンペーンを展開中だ。

メキシコを「第2のホームチーム」として放映
FOX、米国予選敗退で方向転換

ロシア大会はFOXが英語放送局として、テレムンドがスペイン語放送局として全試合を独占生中継する。米国の予選敗退で視聴率低下が懸念されるものの、過去のW杯では自国以外の試合でも高視聴率を記録している。実際、前回ブラジル大会の試合別視聴率トップ10のうち6試合が米国以外の試合だった。

米国チーム不在に落胆を隠せないFOXだが、隣国であり最大のライバルでもあるメキシコを「第2のホームチームのように放映する」とアドエイジ誌に述べている。2010年国勢調査によると、米国内のヒスパニック人口は約5100万人。そのうち64.9%がメキシコ系ということもあり、同社の方向転換は現実的だと評価されている。

サッカー熱高いヒスパニック系を狙いW杯をマーケティング好機に

メキシコ系も含めヒスパニック系移民にとって、W杯は単にテレビで試合観戦するだけのものではなく、本国に残る家族や親戚とつながるための一大イベントだ。そして米企業も彼らと強い絆を築くため、W杯を極めて重要な機会と考えている。

マーケティング・インサイダー誌が4月に行ったアンケートでW杯を見るか尋ねたところ、「見る」または「たぶん見る」という回答が非ヒスパニック系は74%だったのに対し、ヒスパニック系は89%と高い。多くの企業がヒスパニック系をターゲットにスペイン語によるコンテンツでキャンペーンを行うなか、ユニークなのは携帯電話会社スプリントの企画だ。

「リアルタイムで見たい」を叶えるストリーミング生中継「Fútbol Mode」

今回の開催地はロシアであるため、試合は米国時間の午前から午後にかけて行われることとなる。従ってW杯をリアルタイムで観戦するためには、仕事中にどこかで抜け出て見る必要がある …

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