目指すは「経済圏」の拡大、ANA、ドコモ各社の新事業開発
マスマーケティングからデータ、テクノロジーを駆使した「個」のマーケティングへと、宣伝部門に期待される役割は、大きく変わりつつあります。デジタルを含む、広告部門を経験し、現在は新しい領域でチャレンジをする青谷氏、冨満氏の二人の取り組みから、これからの企業におけるマーケティングの在り方、そして宣伝部門の進化の理想について考えます(本文中・敬称略)。
変わる、広告戦略の今
時代の変化に合わせ、宣伝部門もその役割に進化が求められています。主要企業112社にアンケート調査した、部門への課題や期待、求められているスキルを紐解きます。
今年の「宣伝部長」特集では、「変わる、広告戦略の今」と題し、宣伝部門を率いるリーダーを対象に組織体制や人事育成の課題、どのような媒体や手法に興味を持っているか、アンケート調査を実施した。まず、1年以内に宣伝関連部門の組織改革を実施したか尋ねると、「はい」と回答した企業は44.4%の結果に。
どのような変更があり、またそれはどのような目的を持っていたのかの問いに対しては「広報と宣伝部門をコーポレートコミュニケーション統括部の傘下に置き、情報共有・連携強化を推進」「組織を横断して関わる部署を統合し、部門における役割の明確化を図るため、パッケージや販促物関連部署を同部に統合」「コーポレートブランドのコミュニケーション担当チームの新設。リアルイベント担当チームを独立部門に」などの回答があった。
広告・宣伝活動においてどのような広告・宣伝媒体を活用しているのかを聞いた設問では「普段活用している媒体」(複数選択可)として最も多くの回答が挙げられたのが「テレビCM」(昨年6位)と「インターネット広告/動画」(昨年5位)、「自社Webサイト」(昨年1位)でそれぞれ88.9%。そのほかの上位回答には「ソーシャルメディア」(86.1%:昨年3位)、「インターネット広告/バナー(フラッシュ・静止画)」(77.8%:昨年4位)、「交通広告」(66.7%:昨年9位)が挙げられた。デバイスの環境が整い、テクノロジーが進化しているなかでも、従来の4マス媒体も今なお基軸になっていることが分かる。
また、「特に重視している媒体」(3つまで選択可)を尋ねたところ、1位は「テレビCM」で69.4%(昨年2位)。2位の「インターネット広告/動画」(55.6%:昨年同率2位)に10ポイント以上の差をつけた。
一方、「今後重視したい媒体」(3つまで選択可)として最も回答されたのが「インターネット広告/動画」で63.9%(昨年3位)、続いて「ソーシャルメディア」(52.8%:昨年1位)と、動画に注目する企業が昨年よりも増えていることが明らかになった …