次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する本連載。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのか。今回は、江崎グリコ マーケティング本部で活躍する金澤 結衣さんに話を聞いた。
制約の多さはブランドの強さの証 制約を楽しむ気持ちが転機になった
「ビスコ」や「Pocky(ポッキー)」などのスナック菓子からスポーツサプリメントまで、広く食品事業を展開する江崎グリコ。同社のマーケティング部に在籍する金澤結衣さんは、ポッキーを担当して3年になる。2013年にマーケティング職採用の第1期として入社した当時は部内で最年少。1年半キャラクターとのコラボ商品を担当したのち、志願して現在のチームへ異動した。
現在は市場分析や商品企画、プロモーションまで、ポッキーのマーケティング活動を一貫して手掛ける。2月にそのプロジェクト全容が書籍化され、話題になった“「キリン 午後の紅茶」×「グリコ ポッキー」プロジェクト”にも第2弾から参加し、今回で3度目だ。
年々活躍の場を広げる金澤さんにとって思い入れが強く、転機となったのは「ポッキー<濃い深み抹茶>」の開発だと話す。ポッキーはロングセラー商品であるがゆえに、制約が多い。そのうえ、抹茶商品は競合も多い。その環境で、差別化を図る難しさに直面したという。しかし「制約を楽しむくらいの気持ちでやれ」という先輩の一言で思考が一転した、と当時を振り返る。「制約の多さはブランドの強さでもあります。その中でどうすればうまくできるか、考えるようになりました」。
そこからは、“抹茶好き”な生活者への徹底的なヒアリングと商品調査を通じて、生活者のインサイトに寄り添い、課題を克服していく実感を得た。「この商品の強みは、チョコレートだけでなくプレッツェルも抹茶入りの点です …