米国の広告・マーケティング専門誌『Ad Age』が注目するエージェンシーを、ランキングおよび部門別で表彰する「Agency A-List 2018」。グローバルに事業展開する大規模な広告会社から、今年初めて受賞に至った中規模エージェンシーまで、編集部が特に注目した企業と、手がけた広告・キャンペーンを紹介する。

01 Agency Innovator of the Year
固定観念に捉われない、広告界のイノベーター
David Miami

「Agency Innovator of the Year」を受賞したのは、米マイアミにオフィスを構えるDavid Miamiだ。2012年に設立された若いエージェンシーならではの、型に捉われない自由な発想が注目を集めている。シンプルなプリント広告から複雑なデジタル施策に至るまでさまざまな案件を手がけているが、そのすべてにおいてクライアントを中心に据えている点が評価された。
CCOのアンセルモ・ラモス氏は、「always on」という行動指針がクリエイティブにも表れていると話す。常に先を見越したアイデアを提示していく姿勢は、クライアントに「もう十分」と言わせるほどだという。
そんなDavid Miamiが手がけた代表的な事例は、ハンバーガーチェーン バーガーキングの広告だ。ポスターに使用されたのは、なんとバーガーキングの店舗が実際に火事になった時の写真。創業以来、ミートパテを直火で焼くというこだわりを貫いているため、同業他社よりも火事のリスクが高まるということを、インパクトをもって伝える狙いがある。その奇抜なアピール方法によって幅広い層から注目を集め、カンヌライオンズ2017ではグランプリを受賞した。
また、食品メーカー ハインツのCMでは、50年前の広告業界を舞台にしたドラマ『Mad Men』の中で提案されたケチャップの広告を実際に採用した。ステーキやフライドポテトの写真の上に、「Pass the Heinz(ハインツをくれ)」とだけ書かれているものだ。ケチャップそのものはどこにも写っていないが、見た人が頭の中でハインツの存在を思い描くことで、強く印象に残るクリエイティブになっている …