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米国広告マーケティング事情

フロリダ州高校銃乱射事件に関連する Toxic Masculinityを表現した広告が話題

松本泰輔

2月14日フロリダ州の高校で17人が殺害された銃乱射事件以来、アメリカではさまざまな議論が沸き起こっている。その中でも「Toxic Masculinity(毒々しい男らしさ)」は数十年前から指摘されている問題であり、銃乱射事件が起こるたびに再燃する事態となっている。

「男の子は泣くな」、「男らしくなれ」 その教育は正しいのか?

Toxic Masculinityは日本では耳慣れない言葉だが、心理学やジェンダー学などで使われる概念である。一般的に男性は小さいときから親や周囲に「泣くな」「男らしく」と言われ「男は強く、タフであれ」と教えられる。その考え方が根底にあるため、たとえば運動よりも勉強が好きな小学生男子は「女々しい、弱々しい」といじめられ、ハリウッド映画ではマッチョな男優が銃を持って悪を蹴散らし、美人や欲しいものを手に入れる。

従って昔ながらの概念「男らしさ」は、大げさに言えば「男は多少乱暴でも強くなることが重要で、それは社会で許容される」となり得る。この思考こそ大きな間違いで現代の暴力社会を引き起こす根源ではないか、というのがToxic Masculinityの意味するところである。

銃乱射事件の容疑者は、97%が男性 社会への不満を暴力で解決する傾向

なぜToxic Masculinityが銃乱射事件と関連するのか。「男は強くあれ」と育てられた男性は、何かに行き詰まったとき、その不満や無力感を暴力で訴える傾向が高いという。フロリダ州事件の容疑者は学校や異性関係について不満を漏らし「(関係者を)殺してやる」と何度もほのめかしている。また過去の銃乱射事件の約30%は職場で起こったものだが、その理由のほとんどが「解雇になった」「上司から不当な扱いを受けた」などの恨みや不満を銃で発散させたことによる。

一方、女性は同様の問題にぶつかったとき、銃で無差別に人を攻撃することは非常にまれである。犯罪データをまとめる「Statista.com」によると、1982年から起きた銃乱射事件97件のうち男性が関わったのが94件だった …

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