ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

変貌を遂げるエチオピアに押し寄せる中国
最後の成長市場「アフリカ」。中でも世界の製造業・小売業から、一際注目を集める国が「エチオピア」です。近年、世界トップクラスの経済成長を遂げ、消費市場及び生産拠点として有望視されているためです。
富士フイルムではアフリカ大半地域の事業展開(写真事業)をフランス経由で取り組んでいるため、私も「エチオピア」に出張する機会がありましたので、先月号に続きその動向をレポートします。
首都アディスアベバは開発ラッシュで、市内の至る所で建設が進んでいますが、驚いたのは建築現場の「仮囲い」が中国語で埋め尽くされていたこと。中国が官民一体で巨額の援助・投資を行い、道路、鉄道、発電所などの大規模インフラの整備を担っているのです。アムハラ語(同国公用語)で「新しい花」を意味するアディスアベバは、中国がその花を咲かせようとしているように映りました。
レポートの後編となる今回は「中国のアフリカ進出がなぜうまくいくのか」、そのアプローチからビジネスヒントを探ります。

アディスアベバの市内は開発ラッシュ。至るところで建物が建設中だ。
華人コミュニティを形成 中国式の新興国進出
中国によるアフリカ進出の狙いは(上位に中国政府が推進する「一帯一路」構想がありますが)自国の経済成長を維持するために必要となる莫大な「エネルギー資源の獲得」と「ビジネスチャンス」にあります。
進出のメカニズムは、まず中国側の企業・政府要人がトップセールスを行い、資源権益と引き換えに無償援助・借款で大型プロジェクトを請け負うことから始まり、建設で必要な機材や資材を本国から輸出し(貿易体制の確立)、大量の労働者を派遣します。
ここで特有なのが、派遣された労働者たちとビジネスチャンスを求めて自ら移住した中国移民とが合わさり、華人コミュニティが物理的空間(チャイナタウン)として形成されていく点です …