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クリエイティブの「種」、のようなもの

組織の壁を超えるクリエイティブ

資生堂 小助川雅人

人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。

アメリカの作家 カート・ヴォネガットが『スラップスティック』を書いたのが1976年。ストーリーの中で、主人公のウィルバーはこんな言葉を掲げて大統領選に出馬する。「lonesome no more(もう孤独じゃない)」。

それからおよそ40年が経ち、英国政府は新しい部門を設置した。「孤独担当相(minister for loneliness)」だ。人口6500万人の同国で、老若男女を問わず、何らかの孤独を抱えている人は900万人にのぼるという。孤独を感じている人は健康状態に悪影響があり、結果的に医療費の負担など国家予算に多額の損失を与えると報告されている。

英国の百貨店 ジョン・ルイスの2015年のクリスマス広告「Man on the Moon」は、月に住む孤独な老人と地球上に住む少年との交流を描いたものだった。以前から、英国では「孤独」を社会問題として捉えようとする活動があったことから、この広告はそのような時代の空気をストーリーに取り込んでいたのだろう …

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「不便」という体験をデザインする
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