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「百貨店」の課題 消費の未来

デザイン・製造・販売をどう変える? ファッションにおけるAI活用

百貨店のみならずファッション、アパレルの世界にもテクノロジーが浸透しつつある。文化ファッション大学院大学が1月30日に開催したシンポジウム「『Fashion&AI』―人間性とデジタルの共生―」からテクノロジー、特にAIがファッションのビジネス構造をどう変えるのか、その可能性を探る。

(左から)
文化ファッション大学院大学 ファッションクリエイション専攻 教授 吉田 康成氏
ファッションデザイナー/アーティスト 中里 唯馬氏
日本アイ・ビー・エム シニアマネージングコンサルタント GBS事業本部 コグニティブ推進室 岡田 明氏
日本放送協会 情報システム局 副部長 小川 徹氏(モデレーター)

最新テクノロジーの活用で1点ものの服を低コストに製造

小川:AIの進化は、ファッションの世界にも影響を与えています。今年1月、アンダーカバーが発表したコレクションのテーマは、「AIに支配される人間」でした。スタートトゥデイ「ZOZOSUIT」やAmazon「Echo Look」のように、生産・販売・消費者の着用状況まで、服のサプライチェーンのかなりの工程に最新テクノロジーが応用され始めています。そうした環境で、未開拓の分野が上流の「クリエイション領域」です。

音楽、小説、絵画など、ファッション以外の様々な領域では、AIによるクリエイションの試みが始まっています。さらに、アドビシステムズが昨年発表した「Adobe Sensei」のように、グラフィックデザイナーを支援するAIも登場しています。人間とAIが共創する時代の中で、最先端テクノロジーが、特にファッションのクリエイティブをどう変えていくのか考えていきます。

中里:現在は、大量生産された服を着用する人が多いのですが、未来ではそれぞれの身体に合わせて服が製造されるのではないでしょうか。私は「オートクチュール(注文服)」がファッションの未来につながるというビジョンを持ち、2016年からパリのオートクチュール・ファッションウィークでコレクションを発表しています。

しかし1点ものの服をより多くの人に届けようとすると、コストが障壁になります。そこで、最新のテクノロジーを取り入れながら、毎シーズン、技術的なアップデートを重ねています。本日こちらにお持ちした服は、一つひとつに番号を振ったパーツをパズルのように組み合わせる仕組みで、サイズの調整や素材の変更、補修などが瞬時にできます …

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