広告・コミュニケーションの手法や表現の可能性を大きく広げてくれる、最新テクノロジーの数々。「CES」や「SXSW」といったイベントに熱い視線が注がれているのも、そんなテクノロジーへの期待の高まりの証左と言えます。
しかし、そんな時代だからこそ、「テクノロジーありき」で発想してしまうことの危険性を、インターネット育ちのプロデューサー・富永勇亮氏は指摘します。本連載では、広告・コミュニケーションのあり方を変えるような先進テクノロジーや、その活用事例を紹介しながらも、テクノロジーに踊らされることがないよう、マーケターやアドパーソンが押さえておくべき視点や考え方を提示します。
この何十年、テクノロジーの発展は消費者を驚かせ続け、広告業界においても中心的な役割を担うまでになった。だが、その発展から陳腐化までのサイクルは極めて早く、つい先日話題になった技術が翌年には古いモノになる。
これまでカンヌライオンズ中心に海外広告賞の動向を探るだけでよかったところが、CESやSXSW含め、幅広いリサーチが必要になってきた。技術者だけでなく、マーケティングや宣伝担当も、常に最新技術の動向を把握することが必要となっている。
本連載では全6回にわたり、最新テクノロジーやその導入事例を紹介したいと思う。だが、そんな時代だからこそ、忘れてはならない極めて重要な大前提を、第1回では記しておきたい。
「VRで何か」「AIですごいのを」「インスタ映えする方向で」といった、流行りのテクノロジーやサービスの名前とともに「デジタルで何か仕掛けてください」という、ざっくりとした発注をしたことがある方や、耳にしたことがある方は少なくないと思う …