夜間の見学会も 満足度高める各社の工夫
印刷工場に展示見学施設を持つ新聞社が増えている。新聞を学校教育に利用するNIEでの活用を見込んでのことだ。さらに読者との交流の場を設けたり、イベントスペースを開いたりする事例も相次いでいる。読者と顔の見える関係を築き、新聞に関心を持ってもらうことが狙いだ。交流を通じて共感、親近感を醸成し、将来の読者獲得に結び付けていく。
山陽新聞社(岡山市)は岡山県早川町に建設中の印刷工場にNIEや、社会人研修などで新聞を役立てるNIBの拠点となる学習・見学施設を整備。新聞の役割や魅力を紹介するシアタールームや展示エリア、新聞づくりなどのワークショップができる設備も備え、今年6月にオープンする。
岩手日報社、新潟日報社、中日新聞社、大分合同新聞社、宮崎日日新聞社などは、印刷工場に見学施設の併設を進める。小学校の社会科見学の受け入れを見込み、新聞に親しむ機会を作ることが狙い。歯止めが掛からない新聞離れ対策につなげたい考えだ。
このうち宮崎日日は、2016年印刷拠点・佐土原センター(宮崎市佐土原町)内に「じゃーじゃ君と行く みやにちミュージアム」を開いた。新聞の編集から印刷、発送まで紹介するパネルや、実物大の新聞巻き取り紙の模型などを展示。新聞用紙の製造過程や、インキの製造工程に関する展示もある。
さらに2010年に県内で猛威を振るった口蹄疫被害を伝えるコーナーも設けた。防疫のため都農町に置いた簡易新聞ポストや、取材時に記者が着たものと同じ防護服を紙面とともに展示し、地元紙の役割についても理解を深めることを狙う。開設後は小学生が3割増え、年間約4000人が訪れたという …