全米小売業協会(NRF)が昨年10月に発表した推定によれば、2017年の年末商戦における一人あたりの支出予定額は約3%増加する見通しとなっていた。クリスマスに向けて高まっていく人々の消費意欲をさらに掻き立てようと、小売り各社の広告活動も熱を帯びた。

01 CMを軸にWeb、店舗へと広がる世界観
クリスマス広告の代表、ジョン・ルイス
ジョン・ルイス「#MozTheMonster」

毎年クリスマスに心温まるCMを公開し話題を集める、英国の百貨店 ジョン・ルイス。今年は、少年・ジョーと、ベッドの下にすむモンスター「モズ」が、友情を育む様子を描くストーリーとなっている。最初はモズを追い出そうとするジョーだが、次第に打ち解け、夜通し一緒に遊ぶようになる。モズと遊んでいる夜中は、昼間よりも生き生きとした表情を見せるジョー。そんなジョーに、モズが贈ったプレゼントとは…?
監督は、アカデミー脚本賞の受賞歴を持つミシェル・ゴンドリーが務めた。
さらに、テレビCMの世界観を生かしたさまざまな派生企画も展開。ユーザーが"自分だけの"モズを生成できるインタラクティブコンテンツを公開したほか、iTunesやSpotifyでサウンドトラックを配信、作中に登場したベッドカバーなど関連グッズを販売、さらにオックスフォードストリート店ではモズがいる子ども部屋を再現した「Moz The Monster's House」の展示を行った。例年と同様、adam&eve DDBが企画・制作を手がけた。
例年盛り上がりを見せる年末商戦だが、今年は「オンラインストアの成長により、リアル店舗の客足は遠のいている」との報道も見受けられた。全米小売業協会(NRF)が昨年10月、7000人あまりの消費者を対象に実施した調査によると、2017年の年末商戦で「オンラインストアで商品を購入する予定」と回答した人は59%にのぼり、「デパート」と「ディスカウントストア」を初めて上回った。
また、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間の調査結果(NRF調べ)によると、オンラインストアのみを利用した人は5840万人、リアル店舗のみを利用した人は5160万人で、両方使った人が6460万人と最も多かった。消費者はオンラインとオフラインの購買チャネルを上手く使い分けていることが伺える …