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復活を遂げたブランド戦略

ビジネスシーンに活路!定番商品「森永ラムネ」の売上が前年比120%を記録

森永ラムネ

人々のライフスタイルの変化、市場環境の変化、そして商品自体のライフサイクルのステージによって、ブランドを取り巻く環境は大きく変わります。ロングセラーながら変化をチャンスにし、新たな市場を開拓し、成長を遂げるブランドの軌跡を追います。

──森永製菓「森永ラムネ」



1973年に発売し、いつの時代も子どもたちにとって身近なお菓子であり続けてきた「森永ラムネ」。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは常にお菓子売り場の定位置をマークし、安定的な売上を維持してきた。

森永製菓社内においても、これまで、売上の大幅アップを目指すような戦略商品としては認識されていなかったと、マーケティング本部の吉積優氏は話す。

「良くも悪くも、『安定したブランド』という位置づけでした。とは言え、人口動態を見れば少子化の流れは不可逆的。ラムネ菓子は中学生になる頃“卒業”する方が多いこともあり、このままではいけないという危機感は常にありました。購買層を拡大するために、何らかの戦略を打ち立てる必要があると、歴代のブランド担当者も試行錯誤してきました」。

働き方改革を背景に広がった 「仕事のお供にラムネ」の声

そんな森永ラムネの売上が、前年比120%の伸びを記録したのは2015年度のこと。背景には、「大人」のファンの増加があった。

昨今、「疲労回復」「脳の活性化」「二日酔い対策」といったキーワードで、ぶどう糖のさまざまな健康効果が話題になっている。そうした中、「森永ラムネの主成分の90%はぶどう糖である」との情報が拡散していき、一躍注目を集めることになった。

「糖分補給には、森永ラムネだね」「昨日、お酒を飲んでるとき、おつまみに森永ラムネを食べてた。口の中がすっきりする。朝起きたてにも森永ラムネ!」「自分はタバコを吸わないので車の運転は森永ラムネをポリポリかじってます」―SNS上では、大人のファンが森永ラムネを推奨するこうしたコメントが多数見受けられる。

「働き方改革」が叫ばれる中、業務効率を向上したいと考えるビジネスパーソンは多い。そんな社会全体の気運の高まりも相まって、ラムネ菓子、特にぶどう糖を多く含む森永ラムネを支持する声が挙がっているようだ。加えて、「どうせ食べるなら、身体に良いほうがいい」と、健康・美容志向の商品へのニーズが菓子市場全体で高まっていることも、大きな要因と言えるだろう。

こうした消費者の声に後押しされる形で、森永製菓では2017年から、森永ラムネのプロモーションを強化している。「口コミを見ていると、『SNSで話題になり、メディアで取り上げられる前から、森永ラムネにぶどう糖が多く含まれると知っていて、買い続けている』というお客さまもいらっしゃいます。ありがたいことです。

森永ラムネは、決して『売れていなかった』わけではありませんし、『厳しい』状況にあったわけでもありません。しかし、ぶどう糖をきっかけに、多くの方に森永ラムネに注目していただけたことは願ってもないチャンス。子どもから大人へとターゲットを広げ、ブランドの成長につなげたいと思いました」。

発売40年のロングセラーブランドである森永ラムネは、「子どもの頃、食べていた」など、過去に喫食経験を持つ人が多い。そんな大人の消費者に森永ラムネを思い出してもらうことで、その子どもへの買い与えにもつなげることができるはずと、期待を寄せる。

大人との接点をどうつくる? 異業種とのコラボに活路

主成分の90%がぶどう糖であるという事実は、発売当時から現在に至るまで変わらない。ラムネ飲料のような清涼感にこだわり、その味わいを再現するために、原材料として選んだのがぶどう糖だった。しかし、主要ターゲットが子どもだったこともあり、「ぶどう糖90%」を全面に打ち出してプロモーションを行ったことは、これまで一度もなかった。

「疲労回復や仕事の効率アップにぶどう糖が効く」という話題が広がる中、その波を追い風に、2016年からは封緘ラベルに「ぶどう糖90%」と表示するように。大人世代へのアピールを強化する、大きな一歩を踏み出した。

とは言え、「ぶどう糖が多く含まれている」という事実は訴求できても、菓子類であるため、その具体的な効果効能を謳うことはできない。さらに、森永ラムネの主な売り場は菓子売り場、なかでも“駄菓子”類が置かれている棚であり、多くの大人の生活動線からは外れてしまっている …

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