現代において、最もブランドを拡張させている存在は、AmazonやGoogleなどオンライン上のプラットフォーマーと言っても過言ではない。プラットフォーマーが巨大な力を持つ時代に、メーカー企業の商品(ブランド)はどのように対抗できるのか。ニューバランス DTC&マーケティング ディレクター 鈴木健氏が考える。
強大なプラットフォーマー4社が支配する世界が到来する
プラットフォーマーの巨大化は、すでにニューヨーク大学スターンスクールの教授であり起業家のスコット・ギャロウェイ氏が指摘しています。現代のデジタル時代ではGoogle、Facebook、Apple、Amazonのプラットフォーム4社が未来を握っており、彼はそれをヨハネ黙示録の「4騎手(The Four horsemen)」になぞらえます。
黙示録の四騎手は「飢饉、戦争、疫病、死」ですが、ギャロウェイ氏は「神(Google)、愛(Facebook)、セックス(Apple)、消費(Amazon)」と、人間の本能的な欲求に基づいた価値を4大プラットフォーマーが支配していると言います。すでに、その4社の時価総額は合計2.3兆ドルに上り、フランスの国家予算に匹敵する規模です。
しかし、プラットフォームの存在は良い面ばかりではありません。最近、Googleやその傘下のYouTubeの広告ビジネスが直面しているのは、デジタル広告におけるブランド毀損や広告詐欺の問題です。Facebookもフェイクニュースや米国大統領選挙時のロシアからの広告出稿を受けて、プラットフォームとしての責任を問われる事態が起きています。
Appleも、司法省からの殺人犯が所有していたiPhoneのロック解除要請を断った問題で責任を問われました。Amazonも最新イノベーションによって、レジ係、倉庫管理者、配送業者のような労働力を不要にするため、労働者を失業の脅威にさらすことが予想されつつあります。
また、最終的にプラットフォーマー同士は競争し合う運命にあり、すでにYouTubeがAmazonのFire端末で見られなくなり、Amazon上で競合のスマートスピーカーが販売されない事態も起きています。さらにAppleとAmazon、Googleはエンターテインメント、映像、音楽のデジタルプラットフォームの覇権を争い、Facebookは広告領域でGoogleやAmazonと競っています。もはやインターネットアクセスの中立性が保てなくなる将来が懸念されているほどです …