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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

胃腸薬の歴史は「日本の食生活」の変遷、第一三共胃腸薬が長寿ブランドになれた訳

第一三共ヘルスケア

(左)1957(右)2017

戦後の日本人の胃に寄り添い続けて60年

胃腸薬の歴史は、日本の食生活の変遷でもある―。1957年、第一三共ヘルスケアの前身である三共の初代社長 高峰譲吉氏が、消化酵素のタカヂアスターゼを発見したことが「第一三共胃腸薬(発売時:三共胃腸薬)」の始まりだ。

当時は太平洋戦争から12年が経過し、様々な食品があふれ始めた時代。食べ過ぎなどで弱った胃に、穀物に含まれるでんぷんを消化する酵素が効くとして発売された。「胃の不快な症状に合わせて薬が販売されていた時代でした。お客さん自身では胃の不快な症状の特定が難しい中で、『三共胃腸薬』が消化酵素や制酸剤、生薬など有効成分を複合的に配合し、幅広い症状に効果がある点が消費者から受け入れられたポイントです」と現在、ブランドマネジャーを務める第一三共ヘルスケア マーケティング部の溝川達也氏は語る。

その後、高度経済成長期を経てバブル期に入ると、さらに食生活は変化していく。会社の飲み会が増加し、飲み過ぎで胃の不調を訴える人が増加した。そこで、1981年に飲み過ぎや胃酸過多などの荒れた胃対策として「三共グリーン胃腸薬」を発売。また、家庭の食卓に洋食が並ぶようになったことから、1986年に「新三共胃腸薬」の処方を変えて、欧米型の食品に多く含まれる「脂肪」を分解する酵素「リパーゼ」を成分に加えている。

そして2000年代に入ると、乳酸菌の効能に注目が集まり、消費者の意識が胃だけでなく腸内の環境改善に向くようになった。そこで2007年に腸にも効く成分を配合した「新三共胃腸薬プラス」を発売している。

溝川氏は、このようにそれぞれの時代の消費者のニーズに応える商品をつくってきたことが「第一三共胃腸薬」が60周年を迎えられた背景にあると分析している。

「発売当時、胃の不快な症状に合わせて薬が販売されていた中で、幅広い症状に効果がある複合処方の薬を発売したように、革新的な製品を生み出すというDNAが『第一三共胃腸薬』に埋め込まれています。社名が入った看板商品のひとつで、ロングセラーブランドなだけに成分やパッケージを変えづらい面もありますが、そのDNAこそが長く消費者から支持されてきた要因だと考えています」(溝川氏)。

視点01 商品戦略
企業統合で商品名称が変更するが、ブランドイメージは変えない

「第一三共胃腸薬」の主成分のひとつであるタカヂアスターゼの名称は、ドイツ語の消化酵素の意味であるヂアスターゼに、発見者の高峰氏のタカを加えて生まれた …

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