在宅勤務の運用開始 「締め切り」の繰り上げも
「働き方改革」の機運が高まるなか、新聞各社でも労務の見直しが進む。2017年に入り、勤務インターバルや在宅勤務制度を導入する新聞社が相次いだ。降版時間(「版」の締め切り時間)を繰り上げた事例も。長時間勤務が常態化していると指摘される記者の働き方改革が今後の課題に挙がるが、いかに質の高さを担保するか難しい舵取りが求められる。
山陽新聞社(岡山市)は4月1日から、勤務終了から次の勤務開始まで11時間空ける「勤務間インターバル規制」を試験的に取り入れている。同社によるとインターバル規制は新聞業界初の試み。働き方改革の一環で、編集局を含む全ての部門を対象とする。
長時間労働の是正やワークライフバランスの向上により、入社志望者の増加にもつなげたい考えだ。併せて、午後8時以降に残業する場合は上司に申請する運用も導入した。ただし選挙などの繁忙期や突発的な事件・事故の発生時は例外とする。
朝日新聞社と日本経済新聞社はそれぞれ1月と2月に、在宅勤務制度の運用を始めた。ワークライフバランス推進のため、業務の効率化を狙う。子育て中の社員を中心に働き方を多様化し、優秀な人材確保にもつなげたい考えだ。朝日は取材記者や外勤の営業職などを除く勤続3年以上の社員が対象。2017年1月に導入され、月4回まで利用できる。所定の7時間を超える残業は原則禁止。
日経は小学6年生以下の子どもがいる社員向けの在宅勤務制度を試験導入している。全職種を対象とし、原則、所定時間(7時間)の勤務で時間外や深夜勤務は認めていない。内線機能付きスマートフォンや、社内サーバーに接続できる仕組みの導入など技術の面から、情報保全の問題が解消したことも導入を後押ししている …