国際広告賞では大手広告会社の事例に注目が集まりがちだが、中小規模のエージェンシーが手がける広告・キャンペーンも見逃せない。今回は、従業員数150人以下のエージェンシーを対象にした、米アドエイジ誌による広告賞「Small AgencyAwards 2017」の中から、編集部が注目した事例を紹介する。

01 エージェンシー・オブ・ザ・イヤー ゴールド
私たちの「赤ちゃん」は野菜です。
ベビーフードに込めた思いを訴求
ガーバー 「Our Babies」



エージェンシー・オブ・ザ・イヤーゴールドに選ばれたのは、ニューヨークに本拠地を置くクリエイティブエージェンシーTerri & Sandyだ。昨年度は北西部門のゴールドとプロボノ部門のシルバーを獲得しており、今年はこのほかにプロボノ部門でもゴールドを受賞している。
同社は、創業者精神・企業家精神を企業理念として掲げているだけあって、成長スピードが目覚ましい。近年は取引先を増やしながら順調に業績を伸ばしており、2015年には800万ドルだった売上を、2017年の終わりには1900万ドルにまで拡大した。
共同設立者兼CEOのテリー・メイヤー氏、サンディ・グリーンバーグ氏は、クリエイティブな人間が会社を動かし迅速に意思決定すること、目に見える形で感謝を表してメンバーの士気を高めることが成功の鍵となっていると語る。
近年特に注目を集めた仕事は、2016年から担当しているベビーフード会社・ガーバーのテレビCM「Our Babies」である。「果物と野菜は私たちの赤ちゃんです」というメッセージの下、赤ちゃんの身体のパーツと、それらにそっくりな果物や野菜を、2分割の画面で比較していくものだ。ブルーベリーのような青い目、洋ナシのような丸い頭は、商品に使われている素材の新鮮さや安全性を想起させる …