世界の広告・マーケティング界の最先端を行き、新しい概念や手法が生み出されるアメリカ。宣伝会議「Business Creation Lab. 2017 in New York」は、アメリカ広告業界の最新トレンドを概観するレクチャーからスタートした。講師を務めたのは、デジタルインテリジェンス ニューヨークオフィス代表の榮枝洋文氏。6日間にわたる現地企業の視察から、実務に役立つヒントをより多く得られるよう、前提となる業界全体の動向を8つのポイントに分けて解説した。
1. インセンティブ型収益モデルの登場
米国の広告会社の収益モデルとして、広告の成果に応じて報酬額が増える「インセンティブ型」が広がりつつある。効果測定の手法はまだ手探りで、キャンペーン効果を第三者機関で測定するケースもあれば、広告主側が商品売上高などの情報を開示するケースもある。
2. vMVPDの台頭
「vMVPD」とは、スマートフォンを含むインターネット経由でテレビ局コンテンツを生放送するサービスで、サービス利用者は全米で約500万世帯と、8000万世帯に達するケーブルテレビに比べればまだ少ない。しかし、大手テレビ局がvMVPDサービス事業者と連携し始めていること、また広告主が持つ巨額のテレビ広告予算がvMVPDに移行し始めていることは注目に値する。
3. 広告景気とコンサル系エージェンシーの実態
アメリカおよびグローバルの広告景気は明らかに停滞している。消費財メーカーの売上が減り、広告費用も縮小していることが大きな要因だ ...
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