聴取環境のデジタル化やアプリの登場で、今後の成長が期待される、オーディオビジネス市場。また、各社からスマートスピーカーが発売されるなど、市場やデバイスに注目が集まっています。こうした市場の変化は、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、考察します。
デジタル・オーディオ・ビジネス市場とオーディオ・アドの今後
通勤電車で「Spotify」を聴き、仕事中はradikoをBGMに、帰宅したらスマートスピーカーからラジオクラウドで今日のニュースをチェックする、というように、今「デジタル オーディオ ユーザー」が増えてきています。
博報堂DYメディアパートナーズでは、聴取環境のデジタル化により成長が期待される、オーディオビジネス市場に対応するため、10月に「オーディオ ビジネスセンター」を立ち上げました。社内の各部門からスタッフが集まり、コンテンツの音声化から、広告配信まで、各サービス課題への対応、提案を行う社内横断型組織です。センター内では「ラジオクラウド」アプリの運営も行っています。
今年に入って、Spotifyやラジオクラウドが、コンテンツの間に音声(動画)広告を配信する「デジタル・オーディオ・アド」をスタートしました。米国では既に3000億円を超える市場となっていますが、日本ではまだ黎明期です。当社とDACが運営する「ラジオクラウド」アプリを例に、今後の可能性についてお話します。
「ラジオクラウド」は、ラジオ番組など音声コンテンツをオンデマンドで無料聴取できるアプリです。現状、ラジオ局62社、新聞社1社、テレビ局1社が参画し、ニュース、バラエティ、ラジオドラマなど約1万7000本を超えるコンテンツがアーカイブされています。音声は幅広いメディアと連動できます。新聞を耳から聴きたいという人もいれば、雑誌の読み上げや、小説の朗読を聴きたい人もいます。
生活に密着し、メール、SNS、ニュースを見ながら、ゲームや仕事や勉強をしながら、目は使っていても空いている「耳時間」に、音という形でユーザーにいかに情報を届けるかが、ポイントとなっていきます。
ラジオクラウドには、番組再生前に「プリロール」広告枠があり、スポンサーの活用が始まっています。耳にダイレクトに届くオーディオ・アドの効果が、他のネット広告に比べて高いことが分かってきました。実験と調査データから、興味深い結果が得られました(図表1)。スマホの利用時間シェアにおいて、6割は画面を見ているだけなので、まだ耳時間の開拓余地があります。
オーディオ・アドの広告認知(図表2)においては、「広告を確かに見た/聴いた」「何となく見た/聴いた」を合わせて76.7%と高い広告認知となりました ...