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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

生産終了からブランド復活、25周年を迎えた「たまごっち」のマーケティング戦略

バンダイ 「たまごっち」

(左)1996(右)2017

1996年に発売するやいなや、大ヒットしたバンダイの玩具「たまごっち」。小さな液晶画面上のデジタルペットの世話をすると、「まめっち」や「おやじっち」といったキャラクターに成長するゲームだ。その新規性が受けて、大人から子どもまで老若男女が購入。テレビ番組はじめ、さまざまなメディアで紹介され、生産が追いつかず、その飢餓感も相まって、さらに人気に拍車が掛かっていった。

同社ガールズトイ事業部 キャラクター2チーム アシスタントマネージャーの木次佳織氏は、「当時は女子高生のスクールバッグに『たまごっち』を付けることがステータスになるぐらい、注目を集めた存在でした」と話す。

しかしその後、ブームも収束し、1998年を最後に一旦生産は終了していたが、2004年に復活を迎える。女子高生が昔の「たまごっち」を引っ張り出して遊んでいるという情報をキャッチ。時代にあった形で提供すれば、改めて楽しんでもらえる可能性があるのではないかと、市場調査を経て再発売した。

第2期の「たまごっち」は、ターゲットを大人や女子高生から小学生に変更。第1期の発売時後半に、遊んでくれていた層だったためチャンスがあると考えた。機能面も赤外線通信を新たに搭載し、本体同士でキャラクターが行き来したり、結婚して子どもが生まれたりするように進化させた。

そして玩具としてだけでなく、キャラクターとしても育成させていく戦略を立てる。雑誌社とコラボレーションしてオリジナル漫画をスタート、その後にはアニメや映画、カードゲームなどでも展開させた。「現在の子どもたちに『たまごっちと言えば』と尋ねると、玩具ではなくキャラクターを先に想像する子も多い」(木次氏)という。

こうした戦略によって、子どもたちが楽しむ玩具・キャラクターとして復活。最新機種では、27種類のキャラクターをゲーム上で結婚させていくことで、数千万通りのキャラクターを育てられるようになった。「たまごっち」が長い間、親しまれている理由について、木次氏は次のように分析する。

「通信ができたり、子どもが生まれたり、新しい機能が加わっているが、たまごから生まれて、自分の関わり方でいろんなキャラクターに成長していくという、基本的な遊び方は変わっていない。時代が経っても変わらない普遍的な価値に、時代ごとの価値を追加していくことで、長く続けることができた」。

※たまごっちシリーズはバンダイとウィズの共同企画・開発アイテムです。
(C)BANDAI,WiZ

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