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世界の広告会社に見る 新事業・ビジネスモデル

「働き方改革」の活路も拓く?新しいレベニューシェアモデルをつくる挑戦

三浦崇宏(The Breakthrough Company GO)

従来型の広告ビジネスから脱却し、新たなビジネスモデルを確立する上では、どんなことが課題になってくるのでしょうか。大手広告会社から独立し、新しい収益モデルの確立に挑戦する三浦崇宏氏が解説します。

三井不動産の新規事業「ワークスタイリング(多拠点型法人向けシェアオフィス事業)」。事業コンセプトを設計し、それに基づくサービス開発を手がけた。

「悲観は気分、楽観は意志」(アラン『幸福論』)──2007年に私が博報堂に入社した時、当時のクリエイティブのリーダーだった安藤輝彦さんが新入社員にこの言葉を贈ってくれた。10年後、自分で新しい会社を立ち上げるにあたって、会社の精神を表現するステートメントの冒頭に掲げた。自分たちの進む方向を示す言葉であり、今の時代に必要な言葉でもあると確信している。

「AI革命」「働き方改革」「コミュニティの時代」「多様性社会」⋯今の時代を表すキーワードは枚挙に暇がないけれど、2017年が変化の真っ只中であることは間違いない。そんな変化の時代に生きることを楽しむために、我々は2017年にThe Breakthrough Company GOという会社を立ち上げた。

GOは広告会社でもなければ、PR会社でもない「ブレイクスルーカンパニー」というタイトルを掲げている。これは、企業や社会の変化を、あらゆる角度からサポートするという企業としての機能であり、意志の表明だ。その時、広告とPRの技術、発想が重要になることは追って説明する。

大手の自動車メーカーが自動運転技術をインフラとして提供していく企業に変わろうとしている。フィルムメーカーが要素技術を武器に化粧品分野で事業を伸ばしている。「働き方改革」の潮流については言及するまでもなく、この時代に、"変わろう"と考えたことのない企業は少ないだろう。だが、多くの企業が経営リスクや、現状のビジネスとの齟齬、人材難などさまざまな事情によって"変わらない"という決断を下しているのも事実だ。

GOはクライアントが変化を望むのであれば、ありとあらゆる手段を尽くして、それを後押しする。チームには外資系金融機関出身のコンサルタント、商社出身のプロデューサー、税理士といった専門家もいる。会社としての規模は小さいが、対応できる課題の領域は従来の広告会社に比べても広いと自負している。現段階では、大手企業の新規事業立ち上げのサポートや、スタートアップの成長を継続的にサポートするような仕事が多い。

新しい収益モデル サクセスシェアリング

広告会社の収益モデルは、大きくメディアコミッションとフィーの2つだ。GOでは「サクセスシェアリング」という考え方をベースに、レベニューシェアの収益モデルを取り入れている。我々のサポートによって事業の売上が伸びたり、時価総額が成長した成果に応じて、クライアントと収益をシェアさせていただく。単なる広告制作や、PR作業の受注ではなく、クライアントの事業成長に全力でコミットしていくために適正な収益形態だと考えている。

スタートアップや企業の新規事業部門にとっては初期の予算を抑えられるというメリットがある ...

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