長年にわたって確立されてきた広告会社のビジネスモデル。しかし、デジタル化やグローバル化を背景に、そのビジネスモデルは大きな転換を迫られています。メディアバイイングを中心とした従来型の広告ビジネスの枠に捉われず、新しいビジネス(収益源)を創出し、メディア環境・コミュニケーション環境が変わっても揺らがないビジネス基盤を構築することが、規模を問わず多くのエージェンシーにとって課題になっています。
ビジネスモデルの変革、あるいはそれを目指した新規事業の創出に積極的な海外エージェンシーの取り組みにスポットを当てながら、日本の広告会社のこれからの姿を考えます。
これまでにない事業・サービスを創出し、新たな収益の柱としている企業は、グローバルではすでにいくつも見られます。新たな事業の種はどうすれば見つかるのか。また、海外市場で通用するサービスが日本市場でも通用するのかどうかという点も含めて、取り組みの現状を聞きました。
CASE
ゼロからビジネスを生み育てる「IPビジネス」とは?
Anomaly
TBWA\Worldwide、TBWA\Chiat\Dayのクリエイティブディレクターを中心に、2004年に設立された独立系エージェンシー、Anomaly。「コミュニケーション産業を変えるエージェント(Change Agent)」を標榜し、そのグロースハッカー的なビジネスモデルが広告業界内外から注目を集めている。アドエイジ誌が毎年発表する「Agency A-list」では、今年のエージェンシー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。
創業者・投資家・役員としてブランドに参加
同社ビジネスの独自性を高めた最も大きな要因は、「知的財産(IP)の考案、および投資に焦点を絞ったこと」だと、チーフ・マーケティング・オフィサーのEric Damassa氏は話す。
最近のIPビジネスの一例に、全米各州で進む大麻の合法化の流れを背景とした、医療用の高級大麻ブランド「hmbldt」の立ち上げがある ...