シニアをターゲットにした商品のパッケージや広告は、どのような点に配慮すればいいのだろうか。ファンケルが満を持して投入したシニア向け化粧品について、工夫のポイントを聞いた。
Case 【ファンケル】
大切なのは「自分のための商品」という理解
ターゲット年齢を打ち出し、販売好調
購入者の7割が新規顧客 全直営店舗に販路拡大
ファンケルは2016年10月、60代以上のシニア層向けの化粧品「ビューティブーケ」を発売した。販売を開始した当社は通信販売と一部直営店舗のみでの販売だったが、購入者の7割が同社とこれまで取引がなかった新規顧客層で、その人数は計画比18%増。好調な滑り出しを受けて、2017年4月から本格展開し、全直営店舗での取り扱いとドラッグストアでの販売を行うなど、販路を拡大している。
同社はもともと40代女性始め、団塊ジュニア世代に向けた化粧品に強みを持っていた。今回の新商品は、シニア世代にアプローチしていくための戦略商品となる。同社 化粧品事業部 担当部長の堂下亮氏は、「少子高齢化の中で、シニア世帯が大半を占めるようになると言われている。年齢構成の変化が、シニアに向けたブランドを検討するきっかけになった」という。
シニア向け化粧品の開発に向けて、60代以上の女性4500人を対象にした定性・定量調査を実施した。
その結果、シニア女性に「1.キレイでいるために、美容に積極的に取り組む層」、「2.健康への関心は高いが、美容にあまり関心がない層」、「3.健康への関心が高く、美容にも関心がある層」という3つの層が存在することが分かった。そこで、新商品のターゲットを3の「健康と美容の両方に関心がある層」に定める。
「ファンケルは長年にわたり健康食品を提供してきたため、健康に関心がある層との親和性が高い。もともと無添加を打ち出した商品ラインアップを展開しており、3の層に好まれる土壌があると考えた」(堂下氏)。