現在、シニア世代に人気を集める商品・サービスは、どのようなニーズを捉えているのだろうか。市場でシェアを獲得していくためのポイントを探るため、シニアに人気のフィットネス業界を代表する企業の動向を分析する。
Case セントラルスポーツ
フィットネス市場を支えるシニア
アクティブ層からノンアクティブ層へ

フィットネスクラブはシニア世代から人気だ。
毎年1歳ずつ上昇 利用者の平均年齢は52歳
近年、フィットネスクラブの売上規模は堅調に推移している。経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、フィットネスクラブ業界の売上高は2012年以降微増を続け、2016年は3282億円で前年比2.3%増、利用者数は2億4941万人で前年比2.6%増だった。この伸びを支えているのがシニア世代であり、フィットネスクラブ各社が施策を打っている。
業界大手のセントラルスポーツも、シニア層に向けた取り組みを強化している。同社 執行役員・マーケティング部長の鶴田一彦氏は、「当社は今から40年前にスイミングスクールを開校し、その後フィットネスクラブ、ウェルネスクラブ、温浴施設など展開を広げてきた。設立当時、会員の平均年齢は20代後半だったが、その後は徐々に上がり、現在では52歳になる。ここ数年は毎年1歳ずつ上昇してきた」と話す。
地域差はあるものの、シニア世代はフィットネスクラブを主に平日朝に利用している。その後、昼過ぎからは主婦、午後はスイミングスクールに通う子供、18時以降は会社帰りのビジネスパーソンとなる。午前中の時間帯の利用者を増やすためにも、シニア層に対するプロモーションは重要だ。
「アンケートで入会理由を聞くと、男性はゴルフをするために筋力を鍛えたいなど、健康や体力の維持が中心。一方で女性は、入会して友人をつくりたい、楽しみたい、といった理由が多い。女性は一緒に通う仲間とコミュニケーションを楽しみ、買いものをして帰宅するという行動パターンができている。逆に、男性はあまり仲間をつくるのが得意ではない」。
シニア世代の継続率は平均で20~30代の2~3倍
フィットネスクラブは会員制であることが多く、収益性を高めていくうえでは新規会員数の増加だけでなく、継続率を高めていくことが重要だ。その点、シニア層の継続率は若年層に比べて高いという ...