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いま、実際に売れている商品を分析 シニア市場のリアル

シニア世代を年齢と嗜好性でマッピング、可能性のある市場はどこにある?

新川博己(インテージコンサルティング)

現代のシニア市場は、どのようなセグメントに分けることができるのか。シニア市場におけるターゲティングの参考になる視座を、インテージコンサルティングでシニア向け市場の調査を担当する新川博己氏が解説する。

ビジネスの特徴ごとにターゲットを分類すべき

多くの企業が拡大し続けるシニア市場で、自社ブランドのターゲティングが適切かどうかで悩んでいる。シニアという言葉のとらえ方は様々で、国の定義である65歳以上や、日本老年学会の介護にまつわる定義である75歳以上が代表的である。しかしながら、複数の世代をまたぐ広範なセグメントは、マーケティングにおいて適切ではない。まさに"ざっくりしすぎな"定義と言える。シニア市場においても同様で、どの顧客に何を提供するかで、市場の捉え方は変化する。

特に企業がシニア世代向けのビジネスを検討する際は、こうした公的な区分で捉えずに、企業の展開するビジネスの特徴にあった独自の切り口で考えるべきだ。自立した生活を行い購入意欲の高い「アクティブシニア」や、これから定年退職を迎えていくシニア予備軍「プラチナエイジ」が、代表的な捉え方として存在している。

巨大シニア市場が誕生 超高齢社会を迎える日本

まずは、シニア世代がなぜ注目を集めているのか、社会的な観点から押さえておく。主な動向を以下に挙げる。

● 2025年には、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の人類史上経験のない「超高齢社会」に突入する。

● 2020年に高齢者(65歳以上)の33%が1人暮らし世帯となり、その後も上昇していく。

● 食事の傾向として、孤食化が進んでいる。70歳以上女性の約3割、70歳以上男性の約2割が1週間に1回以上1日の全ての食事を一人で食べている。

● 高齢者増加は地域により異なり、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県で全国の後期高齢者増加数の3分の1を占める。また、高齢者比率が高い(全国平均+5pt以上)のは、青森・岩手・秋田・山形・島根・山口・徳島・高知になる。

● 平均寿命から健康寿命を引いた期間が、男性で約9年間、女性で約12年間存在する。その間、さまざまな支援や介護が必要となる。健康上の問題で日常生活に影響のある人の比率が増え、80代前半では30%後半、80代後半では40~50%になる。

全人口における高齢者の割合が上昇し、健康上の問題を抱える人が増加していくことが予想されている。各社がシニア世代に向けた商品展開を進める背景も、この巨大市場に注目してのことだ。

年代とライフスタイルで整理 ビジネスの機会を探る

マーケティングにおいて、「人口統計」と「ライフスタイル(嗜好性)」を掛け合わせることで、多様なセグメントが可能になる。これはシニア市場においても同様である。

当社では、シニアの多様性を表現するにあたり、年代については「(1)55~59歳(自覚なきシニア)」「(2)60~64歳(自覚と試行錯誤を繰り返すシニア)」「(3)65~69歳(シンボリックなアクティブシニア)」「(4)70~74歳(達成を意識するシニア)」「(5)75歳以上(達成を自覚したシニア)」に分類している(図1)。

図1 年代ごとの特徴例

各世代で、特徴は異なる。消費傾向においては、55~59歳は「調理食品を利用」といった特徴があるが、65~69歳は「乳・卵類の消費が大きい」「医薬品や健康食品などの支出が増加しはじめる」になる。また、価値観になると、55~59歳は「人に迷惑をかけるのは嫌だ」「いつも美しくありたい(女性)」に対して、60歳を過ぎると「日々の安定した暮らしが一番」という志向になる。さらに、「今後やりたいこと」を見ても、世代間で傾向が変わる。

続いて、「人口統計」と「ライフスタイル」に関する整理例をまとめた(図2)。例えば、人口統計における「貯蓄額」を切り口にした場合、貯蓄額4000万円以上のリッチシニアがシニア世代の2割を占めるといわれている。そこで金融商品と絡めたビジネスに可能性があるかもしれない。

図2 シニア市場整理の代表的な切り口と特徴

また、「年齢」と「嗜好」でシニア世代を捉えることも可能だ。当社が2016年に実施した調査から、シニア世代が現在、取り組んでいる、代表的なモノ・コトを以下にまとめる(図3)。

図3 年代別、シニアが取り組んでいるモノ・コト(抜粋版)

シニアの平均値を上回るセルは水色にした。たとえば、「テレビや新聞のニュースを見る」のは60代男性が多い。「ガーデニング、庭づくり、家庭菜園」を楽しむのは、65~69歳以上の男女といった傾向が読み取れる。

アクティブシニアと掛け合わせて攻めるべき市場を考える

シニア市場への参入は、さまざまな企業が長年に渡り、チャレンジしている。中でも、健康、介護関連など、課題が明らかな市場は、STP(セグメント・ターゲティング・ポジショニング)が明確であるという理由もあり、過剰とも言えるブランド・商品が投入され「レッドオーシャン化」している。

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