各地の地方紙が事業コンテストを開催
地域活性化のため、起業支援に取り組む地方紙が増えている。自治体や企業、大学とのネットワークを生かし、新規事業提案の表彰や経営者育成塾の開催などを実施。地域の未来を切り開く人材を発掘し、人口減、産業の地盤沈下などの課題を抱える地元経済を活性化していくという狙いだ。創業や事業拡大につながった事例も多い。
山陽新聞社(岡山市)は今年から、起業家育成塾の運営と事業案の表彰を柱とする「岡山イノベーションプロジェクト」を始めた。地元地銀・中国銀行との共催で、約40社が協賛する。育成塾の講師は協賛社を含む県内の実業家が名を連ねる。広告営業で培った企業とのつながりを生かして、協賛や講師派遣を呼び掛けてきたという。
育成塾には40人が参加した。100人超の応募があり、そのうち30代以下が半数を占めた。7月末に締め切った「事業案コンテスト」には、高校生を含む145件の応募があった。選考を経て11月に表彰する。
山陽新聞社のプロジェクトのモデルとなったのは、上毛新聞社(前橋市)の「群馬イノベーションアワード」。眼鏡専門店を運営するジンズの創業者が出資する財団と共催で、2013年から取り組む。協賛企業は約70社と、当初の3倍以上に増えた。担当者は「認知度が高まることで、地域貢献を考える企業から選ばれているのではないか。『社会の公器』と呼ばれる新聞社の事業である点も評価されている」と語る。
昨年は123件の応募があり、公開する最終審査会の観覧者は4000人を超えた。さらに、最終選考に進んだ参加者への追跡調査では、少なくとも6人が起業した ...