技術特化の学生ベンチャーからスピンアウトして会社設立
2006年3月、大学生のプログラミングコンテストで出会ったメンバーによって立ち上げられたベンチャー企業、PreferredInfrastructure(プリファードインフラストラクチャー)。自然言語処理、機械学習技術の領域で事業を行ってきた同社から2016年10月にスピンアウトした会社がレトリバだ。現在は自然言語処理の技術を生かし、企業のコールセンターに集まる顧客の声を分析するソリューションである「VoC Analyzer」などを開発・提供している。
代表取締役社長の河原一哉氏は、プリファードインフラストラクチャーでエンジニアとして活躍してきたメンバーの一人。事業部のスピンアウト、新会社設立の話が持ち上がったのは2016年の2月頃だったという。
2014年3月にはプリファードインフラストラクチャーからモビリティ領域のIoT活用に特化した新会社、Preferred Networks(プリファードネットワークス)が設立されていたが、同社のビジネスが急激に拡大。今年8月には、トヨタ自動車から自動運転技術などの共同研究・開発を目的に約105億円の追加出資を受けている(2015年12月に10億円の出資を受けている)。
「2社とも西川徹が経営トップを務めていたが、プリファードネットワークスが成長する中で、両社の経営を見るのが難しくなっていた。レトリバのスピンアウトは、こうした流れの中で決まったこと」と河原氏は会社設立の背景を語る。
少数派の顧客の声から事業改善のヒントを抽出
河原氏はじめ、プリファードインフラストラクチャーで自然言語処理を担当していたチームがレトリバとして独立。統合検索プラットフォーム「Sedue」、リアルタイム大規模データ分析基盤「Sedue for BigData」、オンライン機械学習プラットフォーム「Sedue Predictor」、キーワード抽出プラットフォーム「Sedue Extractor」などの事業の譲渡を受けて営業を開始した。中でも強みである技術力を生かせる領域として注目したのが、前述のコールセンターに集まる顧客の声の分析ビジネスだった。
「データ分析には大量のデータが必要になる。わざわざ集めなくても日々、自然に集まるデータであることが自然言語処理の技術を生かす上では重要」と河原氏。そこで大量のデータが集まりながら、分析がなされていないことが多かったコールセンターに着目したという ...