次代のルーキーがかつての寵児に取って代わる
米国では、ネット通販の影響からリアル店舗が閉鎖に追い込まれ、今年は9000店近くもの閉店が予想されている。しかも、名だたる大手小売企業が深刻な打撃を被っている。この閉鎖予測数は、約6000店の閉鎖があった2008年のリーマンショック時を超えている。
ただし、影響は複合的に生じ、ネット通販だけの影響とは、必ずしも言い難い。加えて、他の場合と同じように、一般的に影響は、すでに企業体力を弱めているところに強く表れる。かつての時代の寵児が、次の時代のルーキーに取って代わられることは、しばしば目にするものである。
とは言え、それがシアーズやJCペニーなどをも含む影響と聞くと、これはただごとではない。しかし同時に、これらのGMS業態を確立し、世界に類を見ない米国の巨大小売業を立ち上げた大企業にとっては、例え100店規模の店舗閉鎖でも、これは日常的な数字でもある。
ことシアーズと言えば、GMSのシアーズであると同時に、ネット通販ノウハウの原点である「カタログ通販」マーケティングを確立した企業であることは、プロモーション界の誰もが知るところだ。今日急成長するネット通販業界のマーケティング展開は、100%「シアーズ・カタログ」の上に成り立っている。
時代の変化とは、まったく皮肉なものである。けれども小売マーケティングには「小売業態の輪」と言われ、業態自体は、次々と新たな業態に取って代わられ循環するという、これもプロモーション界では有名な理論がある。これらからすると、ネット通販の影響は大きいが、それ以外の影響も考慮せざるを得ない ...