国内の大手広告会社が、労働環境の改善に向けて、新たな取り組みを始めている。まずは国内最大手の広告会社である電通の動きを追った。
Company 01
電通
労務問題の抜本解決に向け、労働環境を改革していく基本計画をまとめた
36協定・ハラスメント・過重労働 3つの「ゼロ」を掲げる
電通は7月27日、報道機関を対象に同社の働き方の改善策をまとめた「労働環境改革基本計画-新しい電通を創る改革」の説明会を実施した。
今回の労働問題が起きた原因として、「長時間残業を許容する構造」「非合理的で非効率的な業務プロセス」「行き過ぎた指導」「労働基準法遵守の軽視」などがあったことを認め、改善のための具体的な方針と施策を取りまとめている。その計画には、大きな柱が3つある【図表1】。
1つ目は「約束0(ゼロ)」。ここでは「36協定違反ゼロ」「ハラスメントゼロ」「過重労働ゼロ」を掲げ、まずは法令順守・コンプライアンスを徹底することを宣言している。また、過重労働ゼロやハラスメントゼロの実現に向けて、2016年10月より実施している深夜業務(22時~5時)の原則禁止や、各局に時間・健康管理やハラスメント防止を担当する「HRM担当局長補」の配置、加えて労働研修の強化、新入社員ケアプログラム、個人評価指標に業務効率性や生産性向上を取り入れている。
2つ目の柱は「目標80」だ。こちらは一人当たりの年間総労働時間を、段階的に減らしていく計画になる。2019年度末までに、2014年度の2252時間(最も労働時間が長かった年度)の80%にあたる1800時間にまで削減していく ...
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