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デジタル時代のプリントメディア

パーソナライズドマーケティングとプリントメディア — 変化するアナログメディアの新潮流

進化・浸透するデジタルテクノロジーとの対比で、ややもすると古いイメージを持たれがちな「プリントメディア」。しかし今、欧米ではプリントメディアがデジタルマーケティングと融合し、新たな可能性を拓いている。デジタル時代に変わる、プリントメディアの今、そして日本における課題とは。

データドリブンマーケティングが オフラインのチャネルと融合

皆さんは、プリントメディアについてどのようなイメージをお持ちだろうか。月刊『宣伝会議』の読者のマーケターの方々の中には、未来性・発展性のないメディアだと思っている方も少なくないのではないだろうか。私も従来の大量生産・バラマキ型、リードタイムの長いプリントメディアには発展性を感じていないが、Webビジネスに身を置いていた時に紙が潜在的に持つ力(表現力、訴求力、保存力)を軽視すべきではないと気付かされる経験をした。

さらに近年のデジタルマーケティングの躍進においては、テクノロジーを活用し、無駄なくリアルタイムで運用可能、しかもデジタルメディア同等のパーソナライズが可能になれば、その発展性は未知数だと確信している。

データドリブンのマーケティング活動で、ROIを高めていこうとするとき、これまではその打ち手がデジタルの施策に終始しがちだった。しかし本来データドリブンとは、カスタマードリブンであるということだ。そう考えれば、デジタルもアナログも関係なくすべてのチャネルとメディアを組み合わせたコミュニケーションが必須となる。そして早くからこれに気づき、実践したブランドは、国内外を問わず大きな収益改善を達成し始めているのである。

プリント・オン・デマンドはなぜ、日本で浸透しなかったのか?

たとえば、私が関わるケースでも、マーケティングオートメーション(MA)を活用した丁寧なフィルタリングとレコメンド情報を組み合わせ、デジタル施策と並行し、毎月大量に送付していたDMを見直して、キャンペーン毎に送付すべき相手を絞り込む取り組みを行った。その結果、過去に経験のない来店率と平均購買単価の押し上げに成功し、施策としては高価であるものの、ROIの高さで評価を受けている。

さて、このようなデジタルテクノロジーと連携する印刷となると当然デジタル印刷となるのだが、読者の中にも「プリント・オン・デマンド」という言葉は聞いたことのある方がいるだろう。約20年前、「必要な時に、必要な部数だけを」をコンセプトに発表された技術であり、無駄な在庫の排除や中間コスト削減の可能性があり、一定の成果を提供した。

しかしながら「表現力の乏しさ」「価格の高さ」が目立ち、そこに既成概念が生まれてしまった。当時の印刷業界、特に商業印刷セグメントの生産能力と技術レベルではプリント・オン・デマンドを用いた付加価値の高いサービスの創造には課題も多く、積極的な採用、サービス構築がなされなかったのである。結局のところ、それから約20年、国内市場では大きな発展はしてこなかった ...

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