アドパーソン12人が選んだ『インサイトドリブン』な海外広告事例【1】三寺雅人
どれだけ新しいテクノロジーを駆使したところで、ターゲットの心理や心情の深い理解なしに、心に届くキャンペーンは実現し得ません。それならば人の心を捉え、行動を喚起した広告キャンペーンを読み解けば、その背後には、人の根源的な欲求や心理が見えてくるのではないか…。そんな仮説のもと、世界の秀逸プロモーションを100点弱集めてみました。
世界の秀逸プロモーションに見る 人の心を動かす「100のインサイト」
インサイトを理解するためには、まず「広告(Advertising)」と「販売促進(Sales Promotion)」の違いを理解する必要があります。昨今、広告の直接的な目的に「売上」を置くケースが多く見られますが、広告の本来の目的は「好きになってもらうこと」です。一方で、販促の目的は「短期的に売上を増やすこと」です。そして日本で「広告」と呼ばれているもののほとんどが、実は「販促」であるという実態があります。
「好きになってもらうこと」の価値を軽視するマーケターは少なくありません。好きになってもらえれば、長期間にわたって商品やブランドに対するロイヤリティが醸成され、販促をしなくても売れるし、競合より価格が高くても売れるようになります。お客さまがエヴァンジェリストの役割を果たすようになることで、口コミも広がります。
企業の最終的な目的は、「長期にわたって売れる仕組みをつくり出すこと」のはず。広告はそれに大きく寄与できる手法の一つです。人間は「刺激に対して反応する」というような単純な生き物ではありません。知的に、そして感情的にメッセージを伝えることで初めて「動く」。それが人間というものなのです ...