宣伝会議では4月26日、27日の2日間にわたり、「宣伝会議 AdverTimes Days 2017(アドタイ・デイズ)」を開催した。本イベントは月刊「宣伝会議」はじめ、「販促会議」、「ブレーン」、「広報会議」、「編集会議」、そしてWebメディア「AdverTimes」と宣伝会議が発行・運営するマーケティング・コミュニケーション領域の専門メディアが一堂に会し、開催している。100名を超える講演者が登壇し、60以上の講演や対談が繰り広げられ、総来場者数は、過去最高となる1万260名を記録。熱気あふれるイベントの様子をレポートする。

「アドタイ・デイズ」の開催は今年で5回目を数える。月刊「宣伝会議」創刊60周年を記念して、スタートしたイベントだ。会場では最先端のマーケティングに関わるサービスを提供する約70の協賛企業も講演や展示を行った。

2日間にわたり、60を超えるセッションには日本を代表する広告・マーケティング・販促・広報の領域の実務家たちが登壇。
今回の「アドタイ・デイズ」のコンセプトは「Beyond」。「仕事そして自分自身のトランスフォーメーションを考える2日間」をテーマにしたイベントのオープニングを飾ったのは書道家の武田双雲氏。武田氏が書いた言葉は「越」。「Beyond」というテーマにちなんで選ばれた。
Lecture 1 消費者視点で考える企業イノベーション
―進化する、企業の理念とビジョン
デサントジャパン 取締役 常務執行役員 小川典利大氏
フィリップ モリス ジャパン 職務執行役副社長 井上 哲氏

写真右からフィリップ モリス ジャパンの井上 哲氏、デサントジャパンの小川典利大氏。
1935年創業、80年以上の歴史を持つデサントジャパン。今年3月、新たな企業ビジョン「煙のない社会を、ここ日本で」を打ち出し、紙巻たばこに替わる製品として、今後は加熱式たばこ「IQOS」に注力していく発表をしたばかりのフィリップ モリス ジャパン。対談から出てきたのは「ソーシャルイノベーション」というキーワードだ。
「たばこ会社が今後、どのようなソーシャルバリューをつくっていけるか。IQOSという商品のイノベーションを基点に、企業全体のトランスフォーメーションに取り組んでいるところ」と話した井上氏。それに対して「スポーツブランドとしてのパフォーマンスをさらに高めるための商品のイノベーションが欠かせないのはもちろん、ライフスタイルさらには社会の中で、新しい価値創造のあり方を模索することが必要」と小川氏もより俯瞰的な視座で企業のあり方を考える必要があると応じた。

デサントジャパンでは社会に対して提供できる価値の一つとして、国内における働く場の創造・提供を重視。国内に4つの自社工場を持っている。最近、新たに開設した地が奈良県・吉野。偶然にも吉野は井上氏の出身地ということもあり、二人の話が盛り上がった。
Lecture 2 企業の理念、ビジョンを表現する
デザインとクリエイティブ
ワコール 総合企画室 広報・宣伝部 部長 猪熊敏博氏
ヤマハ発動機 執行役員 デザイン本部 本部長 長屋明浩氏

写真右からヤマハ発動機 長屋明浩氏、ワコール 猪熊敏博氏。
企業が自ら情報を発信し、ダイレクトに消費者に伝えることのできる時代。ブランド・コミュニケーションも「どんなメッセージを伝えるか?」だけでなく「どのように伝えるか?」。その企業らしさまで考える必要が生まれているのではないか。そんな仮説の元、ブランド・コミュニケーションや世界観にこだわり、社内にデザイナー・クリエイターを抱える2社による対談を行った。
ヤマハ発動機のすべての商材のデザインに関与する、長屋明浩氏は「20世紀はオペレーションのみでビジネスが通用したが、今はデザインを通じてブランドの方針・性格・価値などを示していくべき時代になっている」と企業においてデザインが重視される背景を語った。
猪熊敏博氏も「当社は戦後、洋装下着が日本に定着していない時代に創業しているので、どう広告するのかは自前で考えざるをえなかった背景がある。現在もコミュニケーション活動の起点は企業理念の『世の女性に美しくなってもらうことによって広く社会に寄与する』にあり、その理解がワコールらしさを具現化するうえで欠かせない」と話し、現代の社会におけるインハウスのデザイン・制作機能の重要性を指摘した ...