
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』
ビクター・マイヤー=ショーンベルガー(著)、ケネス・クキエ(著)、斎藤栄一郎(翻訳)
AI社会で守るべきものは「個人の尊厳」であるという点をわかりやすく解説し、ビッグデータのメリットだけでなくデメリットに関しても明記された、読みやすい入門書。
憲法の視点から考える AIによってもたらされるもの
慶應義塾大学 法科大学院 山本龍彦教授の研究分野は憲法学、情報法学。同氏の最近の研究テーマは"AI(人工知能)社会と個人の尊厳"だ。AI技術の研究が進み、生活者にも身近な存在になってきている昨今、AIをほかのAIや、情報システムなどと連携することで、情報通信ネットワークシステムの構築、高度化を図る「AIネットワーク化」の研究も進んでいる。
より消費者の生活にAIが浸透することが予測されているが、山本氏はAIの活用方法によっては、憲法の基本原理である「個人の尊厳」を脅かすのではないか、と警鐘を鳴らす。
例えば、今後企業の雇用にAIが活用されたとき、AIが個人の能力や性格に合った仕事の選択や、企業の求める人材を採用でき、企業や個人の幸せに繋がる可能性も考えられる。その一方で懸念されるのが、個人の希望や選択の自由が尊重されないという問題だ。
「個人の尊厳とはそもそも、個人の属性などで個人の能力や人生を事前に決めつけないということ ...
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