

「かいけつゾロリ30周年」交通広告。新宿駅には、著者の原ゆたか氏の直筆サイン入りで展開した。
かつて親しんだ世代にゾロリを思い出してもらう
いたずらの王者を目指すキツネのゾロリが主人公の児童書『かいけつゾロリ』(著者:原ゆたか氏)。シリーズの発行点数は60冊(以下、続刊)、累計発行部数は3500万部にもおよぶポプラ社のベストセラー書籍だ。その発刊30周年を記念したキャンペーンが2016年12月から行われている。
まずはゾロリシリーズの60巻目記念『かいけつゾロリの王子さまになるほうほう』の発売にあわせて、応募者全員がオリジナルグッズをもらえる読者サービス企画を展開。続いて、出版社のぴあとコラボして、大人に向けたゾロリのムック本を発売。
20周年を迎える東京湾「海ほたる」との周年コラボでは、巨大ゾロリが登場し、トリックアートなどを使ったイベントを実施。そして4月下旬からは「かいけつゾロリ大冒険展」と題した全国巡回型の展覧会。さらに、7月にクラシエフーズの菓子「ねるねるねるね」とのコラボ商品の発売を予定している。一見、関連性の見えないコラボレーション相手だが、その背後には30周年記念キャンペーンの大きな狙いがある。
その狙いとは、ゾロリを「親子2世代キャラクター」に成長させること。同社宣伝マーケティング部 部長の松田恭子氏は、「『かいけつゾロリ』の中心読者は、小学校の低学年層。刊行から30年を経て、ゾロリに親しんだ世代が親になり始めています。そこで、30周年を期にゾロリを親子2世代で一緒に楽しめるキャラクターにしていきたいと考えました」と話す。
そこでターゲットを3つに分類した。現在30代になっている「第一読者世代」、続いてはゾロリをアニメでも楽しみ、最も親しみを持っている20代の「ゾロリ世代」、そして「現在の読者」の子どもたちだ。これから親になっていく20代以降の世代に改めてゾロリを思い出してもらうことが、キャラクターとして成長させていくために不可欠だと考えた。
各社とコラボ企画を行うなど、幅広い展開の狙いもそこにある。同社 かいけつゾロリ事業室 室長の加藤裕樹氏は「ゾロリを思い出してもらうためには、ターゲット層と幅広い接点をつくる必要があります。ムック本であればコンビニの雑誌棚、菓子であればスーパー店頭。書店の児童書コーナー以外でアプローチする方法を模索しました」と話す ...