避難訓練や座談会を 地方紙が主催
2011年の東日本大震災から6年が経過した。死者1万6000人、行方不明者2500人と戦後最悪の自然災害となった。とりわけ津波の被害は甚大で、多くの人が低地の避難所に逃げ込み命を落とした。
2016年には熊本で震度7の地震が二度発生し、首都圏直下型や南海トラフ地震などの発生も危惧される。地震大国の新聞社にとって過去の災害の教訓を語り継ぎ、差し迫る脅威に対する備えを求めることは大きなテーマだ。
各社は防災・減災報道に注力しているが、東日本大震災以降、新聞社が避難訓練や地域の住民が語り合う座談会を開く「実践型」の取り組みが増えている。地域の人たちを繋ぎ、防災の実効性を高めていく取り組みだ。
河北新報社は2012年から、防災ワークショップ「むすび塾」を実施する。町内会など小さな集まりを対象に、被災者の体験談を聞き防災・減災対策について語り合う場を設け、避難訓練なども実施する。きっかけは報道を検証するため、読者対象に実施したアンケートだという。避難行動に報道が役立ったという回答は3割弱。担当者は「問題点を示し、意識の啓発や改善を促す『広く浅く』の報道では限界があり、一人一人が自ら参加して地域単位で意識を高める『狭く深く』という姿勢が重要だと考えた」と話す。
「むすび塾」はこれまで70回近く開かれ、北海道新聞社や京都新聞社、東京新聞、毎日放送など、各地の報道機関と共同で開くなどその輪は広がりを見せる。連携をきっかけに独自の防災キャンペーンを始めたのが、宮崎日日新聞社と高知新聞社だ。宮崎日日は避難訓練を中心としたキャンペーン「『ソナウレ!~備えあれば憂いなし』」を2015年から展開 ...