アジア最大級の広告祭「ADFEST(アジア太平洋広告祭)2017」が3月22日~25日、タイ・パタヤで開催された。20周年を迎えた今年、日本勢は4部門で最高賞のグランデを獲得する健闘を見せた。ここでは、プロモ、ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント、ダイレクト、デザイン、インタラクティブの5部門の優秀作に注目する。
01 プロモ部門 グランデ
ラジオの"デッドスペース"を活用し、若年層の心をつかむ
ネスレ ネスカフェ「The Dead Hour by Nescafe」
今年で20周年を迎え、72都市から1342人が参加したアドフェスト。「20 Years of Diversity(多様性の20年)」をテーマに掲げ、ブランデッド・コンテンツ&エンターテインメント、デザイン、ダイレクト、エフェクティブ、フィルムクラフト、フィルム、イノーバ、インテグレーテッド、インタラクティブ、ロータスルーツ、メディア、モバイル、アウトドア、プレス、プリントクラフト、プロモ、ラジオ、ニューディレクターの全18部門に対し、計3011作品が集まった。
まずは、プロモ部門に注目したい。エントリー作品248点から、グランデ1点、ゴールド6点、シルバー15点、ブロンズ11点の計33点が受賞した。
最高賞のグランデに輝いたのは、ネスレのコーヒーブランド・ネスカフェ。同ブランドがかねてから展開しているキャンペーン「#StayStartStarted」の一環として、インドの伝統的メディアのひとつであるラジオを活用し、若者層をターゲットとしたブランドプロモーションを展開した。
まだ寝ている人も多い早朝の時間帯、RJ Rishiがパーソナリティを務めるラジオ番組があった。あまりにも早い時間なので、聴いているリスナーも、電話をかけてくるリスナーもいない。つまり「Dead hour」なのだ。
ネスカフェと、担当エージェンシーのMcCann Worldgroup Indiaは、この番組に新たな価値を与えた。「誰も聴いていない」ということは、若者たちが胸に秘めている思いや、職場や学校で日々感じている不満を正直に打ち明ける、あるいはぶちまけるのに最適な場なのでは?と。
番組では、彼らの強い怒りや叫びをそのままオンエア。これがターゲット層の心を見事に掴み、番組への参加を促すことにつながった ...