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IoTとマーケティング

日本で注目のIoTスタートアップ企業から、マーケティングに生かせるヒントを探る

浜宮真輔(日本アイ・ビー・エム BlueHub)

「IoT活用」が重要であることはわかっていても、多くの企業にとってそれは難しい要求であり、一朝一夕に具現化することはできません。IoTを活用したビジネスを展開し、成長を遂げているスタートアップ企業の取り組みを通じて、IoT活用のヒントを探ります。

「ZUKKU」の目に搭載された画像認識センサーで、目の前の人の年齢や性別などのデータを取得。これを基にデジタルサイネージで適切な商品を提案する。

3兆円を超える半導体設計企業の買収や、2020年にはインターネットに接続されたデバイスの数が250億台を超えるという予測発表など、IoTへの期待は年々高まっている。すでに多くの企業がIoTの活用を始めており、自社としてどのように活用すればいいか悩んでいる方も多いのではないだろうか。

特に「マーケティングとIoT」という組み合わせになると、多くの方はスマートフォンの動画広告を思いつくのではないだろうか。本稿は、マーケティングにIoTを活用している新しいケースを紹介し、今後の検討に役立ててもらうことを目的としている。

IoTマーケティングを活用するスタートアップ3社

私はインキュベーターという創業数年の若い会社(以下、スタートアップ)のサポートを仕事としている。仕事を通じて、スタートアップの斬新なサービスを数多く知ることができる。その中にはIoTマーケティングにフォーカスしたサービスから、一見マーケティングとは縁がなさそうだが、実は中長期的にマーケティングへの活用を想定したサービスまで、さまざまなものがある。今回は日本のスタートアップ3社を取り上げ、彼らが生み出すマーケティングへの価値を紹介する。

1:ハタプロ IoT型デジタルサイネージ

AIとIoTという最新技術により、どのようなマーケティングが可能になるのだろうか。ハタプロは、人工知能(AI)搭載のIoT型デジタルサイネージとして「ZUKKU(ズック)」の提供を始めた。

ZUKKUは、元々お出かけを楽しくするパーソナルガイドロボットとして提供されていた。その特徴は、外出先で便利なアシスタント機能である。例えば、利用者が「お腹が空いた」と話すと、位置情報・インターネット上の情報・ユーザーの趣味嗜好などを基にお店の情報をアナウンスしてくれる。また、事故など緊急時にはボタン一つで自動通報するなど、スマートフォンの扱いに慣れていないアクティブシニア層の見守りなどに使用することを想定していた。

それが今回、ZUKKUはAI搭載のIoT型デジタルサイネージとして進化を遂げた。ZUKKUの目に搭載された画像認識センサーから、目の前に立っている人間の年齢や性別などマーケティングデータを自動取得し、これを基にデジタルサイネージで適切な商品提案を可能としている。この機能以外にも、対話形式で顧客の特性に合ったオススメ商品の提案や、Beaconと連動したクーポン配信も備えている。

昨今、スマートコンテンツやマーケティングオートメーションが普及しているが、これらの主な特徴はWeb上での購買動向や事前登録されたユーザーの属性情報をもとにWeb上で実施するリコメンデーション機能である。しかし、この機能を実店舗内で活用するのは難しい。理由は、個人を識別するタイミングがレジでの決済にほとんど限られるからである。

これを機会損失と捉え、解決策を提示したのがハタプロである。ZUKKUが設置された店舗では、ZUKKU自身がユーザーを認識し、商品を紹介するという新たなプロモーション機会を創出している。さらに、投影した広告に対するユーザーの反応まで画像認識センサーで確認し、反応が悪い場合は、よりユーザーに必要とされる広告が表示されるように精度を高める機能も備えている。

IoTだけでなく、AIなど最新テクノロジーとコラボレーションすることで、新しいマーケティングを創出した事例である。IoTマーケティングの旗頭として、今後も歩んでいくことが期待される。

パーソナルガイドロボットから、人工知能搭載のIoT型デジタルサイネージへと進化した「ZUKKU」。

2:笑農和 農家のマーケティングを支援

水稲農家は、水管理に最も多くの労働を費やしていることをご存知だろうか。水管理とは田植え後の水量・水温を最適化するための作業で …

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