IoTは、移り気な消費者と向き合う処方箋
「インダストリー4.0」「第4次産業革命」などを合言葉に、ものづくり分野での活用に注目が集まりがちなIoTですが、消費者の生活の中に浸透していくと、どのような変化が起こるのでしょうか。また、そこでは消費者と企業との関係性はどのように変わっていくのでしょうか。
IoTとマーケティング
ビジネスにいち早くIoTを取り入れ、商品・サービス提供に生かしている企業に、取り組みの狙いや、IoT活用を実現するための組織体制について聞きました。
「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタi」。従来の「バリスタ」の利便性を進化させることに加え、コーヒータイムをより豊かにする機能も搭載した。
2009年に発売し、2016年末時点で累計出荷台数380万台を突破したコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」。カフェで飲むような本格コーヒーを家庭やオフィスでも手軽に飲めるようにした同マシンは、「一杯のコーヒーを通じて、お客さまの生活や気持ちをいかに豊かにできるか」を考え、それを実現する商品をつくり続けてきた「ネスカフェ」ブランドの、新しい価値提供の形だった。
昨年10月に発売したBluetooth搭載の最新モデル「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタi[アイ]」は、同マシンの簡便性とクオリティをより高めるとともに、インターネットを活用してユーザーのコーヒーライフをさらに豊かにする新たな機能を搭載した、IoTプロダクトの代表例だ。
機能は、(1)自分の好みに合わせたオリジナルレシピの登録、(2)トラブルシューティング、(3)家族や友人同士のコミュニケーションのきっかけづくり(より豊かなコーヒータイムの体験提供)、(4)顧客とネスレとのコミュニケーションチャネル(ロイヤリティプログラム)の大きく4つに分けられる。
従来の「バリスタ」が持っていた利便性をさらに高めるという発想で考えられた(1)・(2)の機能に加えて、「バリスタi」では「コーヒーにしかできない付加価値の提供」をいかに実現するかが重視された。具体的には、専用アプリで家族や友人を「友達リスト」に登録すると …