和装・礼装が時代とともに使われなくなり、危機に直面した伝統工芸の名古屋黒紋付染。プロデューサーである中村剛大氏は、海外輸出の知見がない状態から、伝統を未来へ継承するために、競争の激しい米国アパレル業界へ挑戦している。
山勝染工は、400年ほど前に発祥した名古屋黒紋付染の技術を活かし、和装礼装服の製造業からスタートした。三代目である父が亡くなったことを契機に職人である弟・友亮さんと二人三脚で染色技術の伝承・継承に力を注ぐことを決意した。
「昔は、日本人の身近にあった着物ですが、今は着る機会が減ってしまいました。しかし、日本の染色技術だから出せる深い黒や、日本の独自文化であり家族の絆の象徴でもある家紋文化を未来に残し、次の世代へつないでいくことは、とても大切だと思っています」。
一度、家業から離れた中村氏だからこそ、できることもあるはず。「伝統を守ることは、変化を続けること」を企業理念に掲げ ...
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