
東京・八重洲にあるエモーションテックのオフィス。
成熟する市場では既存顧客の満足度が重要に
マーケティングの現場でエンゲージメント、ライフタイムバリューといった言葉を聞く機会が増えている。特に成熟化し、市場自体のパイが爆発的に拡大しえない競争の厳しい業界においては、一人ひとりの顧客の満足を重視し、深く長く続く関係を構築しようと志向する企業が増えている。
顧客の声を起点とした経営課題の解決、サービス品質の向上を支援する、Emotion Tech(エモーションテック)取締役の本田英貴氏は「特に市場が成熟期にある業界ではライフタイムバリューの向上を目指し、顧客満足に積極的に取り組む企業が増えている」と話す。さらに「顧客と接点を持ちうる場が格段に増えたことで、顧客体験のマネジメントも重要な課題になっている」と続ける。
エモーションテックでは、カスタマーエクスペリエンスマネジメントを通じ、顧客体験の質、さらに顧客ロイヤリティを高め、企業収益改善を支援するクラウドシステム「Emotion Tech」と、その導入・活用のコンサルティングサービスを提供してきた。
「まずは、その企業が目指すべき顧客との関係性などゴールを設定する。そのうえで、顧客に対するアンケート調査などを独自開発の感情解析技術を用いて分析。その結果、導きだされる顧客の感情・満足度を顧客と接点を持つ各部門が、モニタリングできるクラウド型の仕組みを提供しながら、コンサルテーションをし、ゴールまで伴走するのが私たちの仕事」と本田氏は説明する。
ユニクロ店舗でのマネジメントで気づき
実はエモーションテックは、2016年12月にwizpra(ウィズプラ)から社名変更をしたばかり。2013年3月の会社設立当時は小売り・サービス業の現場における、従業員満足に軸足を置いたサービス「ウィズプラカード」(当初の名前はポジカ)」を提供していた。ポジカとは、ポジティブカードの略で小売り・サービス業などの現場で従業員同士が送り合う「Thanks Card」をオンライン上で実施できるサービス。スマートフォンで気軽に投稿できる、社内SNSツールであることに独自性があった。
「代表取締役の今西良光は、ユニクロで店舗マネージャーの仕事に就いていたことがあり、そこでの経験が従業員の感情の可視化や、その把握を通じた従業員満足の向上の重要性に気付きを得るきっかけとなった」と本田氏 ...