驚きのある事実を客観的に証明し、消費者とのコミュニケーションを円滑にすることで消費を促す。そんな新たなマーケティング手法が「プルーフマーケティング」だ。「世界一の事実」を証明するギネス世界記録を活用したメソッドを公開する『PROOF MARKETING(プルーフマーケティング) ギネス世界記録(R)の市場突破力』の発売にあたり、著者であるアサツー ディ・ケイ コミュニケーションプランナー 岩﨑慕了氏とギネスワールドレコーズジャパン 代表取締役社長 小川エリカ氏に話を聞いた。
消費者の心に刺さる プルーフマーケティングの手法
――なぜ今、プルーフマーケティングが必要なのでしょうか。
岩﨑:情報環境が大きく変化した今、何よりも事実を示すことが消費者の心に刺さると言われています。現代の消費者心理を考えると、驚きの事実を証明することで消費を促すプルーフマーケティングは、大きな効果を望める手法のひとつだと思います。
小川:私どもは「個人や組織を問わず、個性や特徴を活かせば必ず何かの世界一に輝ける」という想いの下、挑戦者と共に新しい価値感を世に生み出すためのお手伝いをしています。その企業や商品が持つ、類まれなる挑戦ストーリーに共感を集め、メッセージの訴求、販促に成功したケースも数多くあります。
岩﨑:「世界一」と聞くと、大手企業や世界的企業しかできないことのように思われがちですが、実はどんな企業にも世界一になれる領域があるんです。例えば、ある洗濯機の事例では、稼働中の洗濯機の上に3メートルのトランプタワーを載せて世界一をとり、静寂性を訴求しました。売上やシェアではなく、商品が持つ独自の強みが世界一であることを立証するのは、アイデア次第でどの企業にもできるんですよ。
小川:日本が誇る技術力、職人技を発掘したり、日本の風物詩を世界に届けて地域や名産品の訴求・活性化にも取り組んでいます。
岩﨑:ギネス世界記録はエンタテインメント性があり、認知度が高いためグローバル展開も可能です。また、イベントを開催して記録達成を目指したり、テレビCMや店頭のムービーで達成したときの動画を流したりと、ひとつの記録で後々まで広く活用することができます。過去には名刺に自社の世界記録を載せて商談を成功させている企業もありました。
小川:最近では挑戦を通じて地域の絆がうまれ、人材開発、組織の団結にも有効だということが分かってきました。
――どのような人にこの本を読んでもらいたいですか。
岩﨑:自社の情報を伝えたいけれどスルーされてしまうと悩んでいる方々です。業種に関わらず多くの人に読んでいただきたいですね。本書では、様々な事例を通して、企業の課題に応じたギネス世界記録のつくり方や伝え方を掲載しています。世界一になるための方法をステップごとに掲載しているため、誰でも今日からチャレンジしていただけると思います。
小川:出る杭になろうという勇気のある方に手に取って頂きたいです。日本はいい意味でも悪い意味でも同調の文化ですが、視点を変えれば「違い」にこそユニークさや魅力が現れます。今まで賞賛する指標がなかったものに対し「実はこんなに素晴らしい活動をしているんです」と認証し広めるお手伝いをすること。ギネス世界記録の挑戦を通して日本の企業を元気づけ、経済社会を活性化させたいです。
岩﨑:今後はイギリスにあるギネスワールドレコーズ本社をアッと驚かせるような、日本発のおもしろい企画にチャレンジしてみたいですね。ギネス世界記録に興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
『PROOF MARKETING(プルーフマーケティング)
ギネス世界記録(R)の市場突破力』
本書では、ギネス世界記録を活用しながらプルーフマーケティングを実践し、新たに需要をつくっていく方法を探っていきます。「モノが売れない、伝わらない」と悩むマーケターに向け、「世界一になれる領域」を掘り起こし、消費者の記憶に残るコンテンツで顧客を増やしていく道筋について、国内外の事例とともに解説した1冊です。
セミナーレポート
「世界一」を発信するプルーフマーケティングの効果
2月24日、『PROOF MARKETING(プルーフマーケティング)ギネス世界記録(R)の市場突破力』の刊行記念セミナーが開催された。
第一部では、ギネスワールドレコーズジャパン 小川エリカ氏とヴィハーグ・クルシュレーシュタ氏が登壇。小川氏は「世界記録への挑戦は、コンテンツづくりそのもの。話題づくりの一過性のものではなく、挑戦するまでの苦労や達成後まで含めて世界一の印象づけができる」と話す。
広告活動においてギネス世界記録が価値を持つ理由は、クライアントが自信を持って世界一を主張できること。これまでにも商品PRや町おこしなど、さまざまな企業や自治体がギネス世界記録をマーケティングに活用してきたことを、事例をもとに紹介した。
第二部では著者であるアサツーディ・ケイの岩﨑慕了氏が登壇。岩﨑氏はプルーフマーケティングを「商品やブランドに関する驚きのある事実を客観的に証明することで、消費者とのコミュニケーションを円滑にし、行動を促すマーケティング手法」と位置づける。
中でも「世界一」という事実は瞬時に、かつ強烈に消費者の心にインプットされると強調する。プルーフマーケティングを実行するための条件には、証明する事柄が「客観的事実」であること、その事実を「証明できる」こと、の2点を挙げた。世界一の証明としてギネス世界記録を活用しながら、「ナンバーワン」になれる切り口を発掘していく手法を「ファクトコンテンツコミュニケーション」と名付け、メソッド化した岩﨑氏。
「SNSによる情報拡散やインフルエンサーのレコメンドが、ますます力を増している中で、市場競争において重要なのは、消費者が納得して購入できるための保証。客観的な事実をもとにした証明が、勝利を収める鍵となる。プルーフマーケティングを用いて、注目度を最大化していくには、事実の証明の過程を、独自の価値を持つコンテンツに昇華させるアイデアが欠かせない」と述べる。
第三部では雪印メグミルク「雪印北海道100 さけるチーズ」を使って1分間に何本裂けるかというギネス世界記録へ挑戦する試みが行われ、会場は熱気に包まれた。
編集協力/アサツー ディ・ケイ、ギネスワールドレコーズジャパン