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研究室訪問

高品質物流サービスの国際展開を目指して

根本敏則(一橋大学)

「物流ビジネス最前線」
齊藤 実(著)光文社

ネット通販が高度なロジスティクスによって成り立つことを、事例を交えながらわかりやすく解説した一冊。

日本からの発信で物流国際標準をつくる

一橋大学 大学院商学研究科の根本敏則教授は、生産と販売を連動させた最適物流である「ロジスティクス」の研究を行っている。

根本氏によると、以前より輸送頻度に合わせて在庫水準を決めることなどは実施されてきたが、最近では販売に合わせ生産、さらに部品調達を行うようになっている。その先駆けとなったのは、トヨタ自動車の「ジャストインタイム生産システム」だ。必要なものを、必要な時に、必要な量だけ調達し在庫する考え方は、あらゆる業界で採用されるようになったという。

「また、ネット通販が登場した時は脚光を浴びたわけだが、多くの企業が物流センターの運営、ラストマイル輸送にてこずり失敗した。AmazonはITを駆使したネット通販ロジスティクスを開発・確立することによって、ネット通販、そして流通業の歴史を変えた」と根本氏は指摘する。

物流センター・ラストマイル輸送は必ずしもネット通販事業者が自ら行う必要はないと根本氏。Amazonも特定地域以外は宅配事業者に外部委託している。しかし、ここに来てドライバー不足が深刻化し、持続可能性の高いロジスティクス、具体的には商品価格に含まれている配送料(配送費用)の「見える化」、駅に設置した宅配ロッカーでの引き取り奨励、自動運転・ロボットの活用などが重要になっている。

根本氏はもともと工学部で都市計画、交通計画についての研究を行っていた。その後、交通の経済的な側面、その中でも「ものの流れ」を支配するメカニズムの解明、その最適化などに興味を持ち研究を行っている。

日本の高い品質の物流サービスの国際展開を図っていくためには、物流サービスの国際標準化が重要で、その一環として、根本氏は「小口保冷配送サービスに関するPAS規格(公開仕様書)策定プロジェクト」に参加。国家規格協会であるBSI(British Standards Institution:英国規格協会)の下、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政、欧米の利害関係者とともに国際標準の策定を行っている。

国際標準化を目指す背景として、日本では当たり前のサービスとなっている「クール便」が、世界的に見ればまだ導入されていない国も多いということがある。アジアでは所得の上昇で生鮮食品の輸送需要は高まっていくはずであると根本氏。国際標準なしで、各国が独自にルールを定めることになると、多くの国で、あるいは国をまたがって生産・流通を行っている多国籍企業が生鮮食品の品質を保持するのが難しくなる。標準化プロジェクトは作年の3月から開始し、今年3月までにPAS規格が公表される予定。

根本氏は「日本は物流の品質が高いが …

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