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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

OOHは広告ではなくコミュニケーションツール-進化するOOHに期待

アジャブ・サムライ(オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン)

    OOHのここがポイント!

  • OOHを活用するときにはシンプルなメッセージを、シンプルな形で届けること。
  • ツールとして考えるのではなく、メッセージに命を与えるための手法であると捉えるべし。
  • 投資効果を見極めるには、まず課題や目的を認識し、明確な指標をつくること。

屋外看板という概念からリフレームして考える

OOHは、私たちが広告を通じてコミュニケーションをし始めた頃から存在する、クラシックで由緒ある媒体です。しかし近年、非常に速いスピードで進化しており、メッセージの訴求方法も大きく変わってきています。それゆえ、広告主がまさしく「『屋外』にメッセージを出したい」と思う際に、今でも極めて重要な媒体であります。

現時点では、広告費関連の指標はOOHの中でも、特にデジタル領域の成長による予算増加を示唆しています。デジタル、テクノロジーが組み合わされることによって、私はOOHが、クラシックな媒体でありながら今後も継続して活用され続けると考えています。

現在のデジタルOOHは、屋外広告の良い部分を提供しつつ、例えば音声入りの動画も展開できるようになりました。これは小さな変化ではありますが、簡単なアニメーションやショートフィルムをベースにしたメッセージを、屋外広告として展開できるという可能性の扉を開けたということです。

デジタルの登場で、OOHという媒体の表現手段が「静止画」ではなくなっています。デジタルテクノロジーを活用することでOOHは動くことも、音声を出すこともできます。それだけでなく、消費者に直接語りかけることも、消費者からの呼びかけに反応することもできるのです。

さらに言えば、消費者の持つ携帯電話にも語りかけるし、天候や交通状況にも反応します。昼と夜で異なるメッセージを展開するなどカスタマイズも可能である点も、魅力のひとつではないでしょうか。

究極的には、より大きなインパクトや共感を生む「生放送」も活用されていくようになるでしょう。

例えば、スウェーデンのあるOOHのケースでは、地下鉄のプラットフォーム上のデジタル画面にウルトラソニックセンサーを設置し、電車が移動する風に吹かれて画面の美しいロングヘアの髪が乱れるという、シンプルなのにセクシーでチャーミングなデジタルOOHの仕掛けを施しています。新しいヘアケア商品がいかにして髪に生命を吹き込むのかを「生」で見せる非常に驚きがあって面白い仕掛けですよね。

OOHはサンプリングなど異なったプロモーションと組み合わせることもできそうですし、複数のOOHを組み合わせるという新しい可能性が出てます。非常に面白い世界が広がってきていると感じます。

(C)123RF

ブロックされない強み生かし シンプルなメッセージを心がける

OOHの突出した特徴のひとつに、「ブロックされない」ということがあります。今の時代、他の媒体は、ブロックされたり、チャンネルを変えられてしまうことがしばしば起こります。おそらくOOHは、私たちが何らかの形でブロックしたり、チャンネルを切り替えたりして遮断することができない唯一の媒体、と言っても良いのではないでしょうか。この点を念頭に置きながら、さまざまなアイデアを検討すべきだと思います。

また、ほかの媒体と異なる点で考えると、OOHは風景や生活の一部に溶け込める媒体です。東京のような都市では、渋谷や新宿の大きな交差点におけるOOHを例にあげるまでもなく、一種のランドマーク的な役割を果たしており、大きな存在感を持ちます。OOHが目印となるステータスをも得ています。

認知度向上を目的とした施作であったり、特別なプロモーション施作の一部を担っていたり、いわゆるIMCを計画する際には、OOHは今でも使用媒体の重要なオプションのひとつとして検討されています。詳細な情報を伝達する最適媒体とは言えないものの、企業が遠慮をせずにそのブランドの「顔」を世の中に大々的に見せたい、と思われる際には極めて有効です。

前述したように、次から次へと新しい媒体が出てくる移り変わりが速い中でも、OOHは統合マーケティングと言われる中では非常に大事な役割を持っていますから、この時代になったからといって古くなった媒体とは考えていません。

日本の広告界にはすでに、伝統的なメディアと新しいメディアを組み合わせ、非常に効果的かつ広告賞を授与されるようなソリューションを多く生み出している実績があります。今後の傾向としては、さらにそのクオリティのレベルを上げたソリューションが見られる頻度が高まるでしょう。

このように、OOHは進化を遂げているため、今まで抱いてきた屋外看板のようなOOHのイメージからリフレームして考えないといけません。アウトプットのアイデアがサインボードから抜けないという声も耳にしますが、考え方を切り替えることがとても重要です。

一番大事なのは、シンプルなメッセージを、シンプルな形で届けることです。コミュニケーションにおいては、「シンプリシティ(シンプルであること)」は常に効果的なものです。どのような媒体の、どのようなメッセージであっても、伝えたいメッセージがその最もシンプルな形で語られる、ということには利点があるものです。

私はOOHとはシンプルなメッセージが一番生きるメディアだと …

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