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小売り・メーカーの販売戦略に生かす! Amazon研究

浸透するプラットフォームにどう挑む?アパレル企業の戦略とは

高田 賢二(ユナイテッドアローズ)× 村田 昭彦(ベイクルーズ)× 矢嶋 正明(ビームス)

アマゾンを始めとする新たなプラットフォームがアパレル業界にも浸透しつつある。巨大資本を持つグローバル企業は、システムやサービスの開発に巨額の投資を行い、充実した配送サービスなど大企業ならではの強みを生かした展開を行っている。ファッション業界の先端を走る企業は、戦略として新興プラットフォームに乗るのか、それとも独自戦略を貫くのか。

―アマゾンのような巨大プラットフォームが浸透してきている状況をどう考えていますか。

高田▶ アマゾンを始めとする巨大プラットフォームの台頭に伴い、近年、アパレル業界でも自社ECサイトなどのオンラインとオフラインを統合する動きが活発化していますよね。ユナイテッドアローズでは、それぞれ独自に管理していた自社ECサイトと、リアル店舗や、物流センターを含めたすべての商品在庫の一元化を徹底的に行い、さらにオンラインとオフライン、それぞれの会員データを統合化しました。

村田▶ ベイクルーズも、自社ECサイトとリアル店舗を統合し、顧客情報や在庫情報を一元管理しており、それらを含めてプラットフォームとしての自社ECサイト構築に注力しています。今まではリアル店舗を中心に事業を拡大していましたが、マーケット全体を見るとオフラインの販売チャネルは縮小傾向にあります。

オンラインでの顧客接点を拡大し、オフラインとのシナジー効果を発揮したいと考えています。そのためにも自社ECサイトのプラットフォーム化は必須です。今まで点在していたデータを統合する環境をつくり、各チャネルと連携させていきます。

矢嶋▶ ビームスも自社ECサイトの統合プラットフォーム化を進めています。アマゾンやZOZOTOWNといった他社の販売プラットフォームにも出店していますが、やはり直接的に顧客とつながれる自社ECサイトを優先的に発展させていきたいと考えています。ただ、ファッションに特化したECモール、総合型ECモールの違いはありますが、幅広いお客さまと接点をつくれるメリットがありますので、限られた在庫を効率的に運用することに注力しています。

高田▶ ユナイテッドアローズも、今後の展開を見据えて2017年春に自社ECサイトを刷新する予定です。皆さんと同様、戦略的に自社ECサイトを強化していきたいという考えのもと、プロジェクトが始まりました。とはいえ、当社もアマゾンで商品を展開しています。現在、アマゾンはあくまでサテライトモールとして補助的な位置づけですが、今後ファッション領域の拡大をしていくと提言しているので、様子を見ながらやっていこうかと。

村田▶ 我々の事業は製造小売業。モノづくりからお客さまに商品を届けるまでを一貫して提供することで事業が成り立っていると考えた場合、アマゾンに限らずプラットフォーマーがオンラインの顧客接点をおさえてしまうことは脅威でしかないと考えています。ただ実際は力量として自社だけでオンライン上の接点を築ききれていない力不足な状態にあるので、自社EC以外のZOZOTOWNをはじめとするモールでも顧客接点を持ち、共存させています。

でも、それはどちらかというとライトユーザーの方に対する接点として。逆に当社のブランドが好きで店舗に来店してくださるお客さまに関しては、きちんと自社ECが選ばれるような仕組みを強化しています。一番怖いのはインターネットの世界って勝者総取りなので ...

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